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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

日産 フェアレディZ 2022 (B 80点)

カーデザイン

初代等をオマージュしているが 平面的で初代ほど迫力ないのが残念

■まとめ (B 合計80点/100点満点)

  日産フェアレディZ (6代目後期)は形式上マイナーチェンジだが、デザイン上はフルモデルチェンジに等しい大きな変化。2020年に公開されたプロトタイプとの変更は少ない。

  フェアレディZのコアのファンをターゲットに、テーマは「伝統と最新技術の融合」。それは初代等の伝統的なロングノーズ・ショートデッキのシルエットと先進的なランプ等の融合。

  と言ってもマイナーチェンジなのでパッケージングは変えられない。その範囲で頑張ったシルエットは歴代にない新しい「ロングノーズ・ロングデッキ」。(新型(後期型)に比べると前期型は「ショートノーズ・ショートデッキ」)

カーデザイン

上 新型 (後期型)、 下 前期型

  フォルムも滑らかでスタイリッシュ。しかしコアなファンには平面的に見えて力強さが物足らなそう。

  ランプ、グリル等の形状も初代等をオマージュしているが、新しさを表現したいがためか、焦点の定まらない目やポカンと開いた口のようで、初代のような迫力が不足しているのは残念。

カーデザイン

  初代はスリムなマッスルカー(細マッチョ)で立体的な迫力あるデザイン。フェアレディZは性能ばかり追求しないエモーショナルなスポーツカーだし、ノスタルジーの好きなコアなファンがターゲットならば、初代のデザインを もっと素直に踏襲・進化させても良いのではないだろうか。

  例えば ポルシェ 911は初代以来の丸っこいルーフラインと丸目ヘッドランプを現在でも大切に踏襲している。

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■主な比較対象車

・日産 フェアレディZ (全世代、プロトタイプ)

日産 アリア (同門車)

・ポルシェ 911 (競合車)

・シボレー コルベット (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  2022年マイナーチェンジした日産フェアレディZは 世界中で累計約180万台販売されてきた量販スポーツカー。現行(6代目)は2008年発売だったので長く待たされたモデルチェンジへの期待は大きい。

・用途

  レースでタイムを競うような性能ではなく、遅くてもマニュアルで操作したりとかクルマを操ること自体を楽しむような感情的な(エモーショナルな)スポーツカー。

・ユーザー

  フェアレディZのコアのファンがターゲット。彼らはフェアレディZに関わるストーリーやノスタルジーを愛しているそうだ。

・デザイン要求

  つまりコアなファンの情感に響くノスタルジックなスポーツカーらしいデザインが必要だ。

■コンセプト (30点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ、アイデア

  テーマは「伝統と最新技術の融合」。言い換えると「レトロモダンとフューチャリズム」。

  伝統とはロングノーズ・ショートデッキのシルエット等。

  最新技術とは近未来的でモダンなランプ等。

・モチーフ、スタイル

  フェアレディZ全世代がモチーフ。特に初代のシルエットやランプのグラフィックをモチーフにした。ノスタルジックなファンにはピッタリだろう。

・パッケージング

  前期型(6代目)に比べて全長が伸びたが、他はホイールベースを含めて変わらない。全長が伸びた分は ほとんどフロント オーバーハング。全長が先代(5代目)より長くなったので、前期型で先代より縮めたホイールベースを伸ばしたいところだが、マイナーチェンジでは変更できなくても仕方ないか。

■全体デザイン (20点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  イメージ的にはロングノーズ・ショートデッキに思えるが、実際には歴代フェアレディZになかった「ロングノーズ・ロングデッキ」の新しいプロポーション

  ボンネットは前期型に比べてフロント オーバーハングが伸びてロングノーズ。

  ルーフは なだらかな山なりカーブでリア ハッチに続き、そのままリア エンド端の低い位置まで伸びてロングデッキ。リアエンド端が低めなのは初代等の流線型シルエットのオマージュ。

・フォルム

  歴代フェアレディZになかった伸びやかで なだらかな山なりルーフラインが印象的。新しいスタイリッシュなクーペと考えるとピッタリ。しかしノスタルジックなファンからすると滑らかすぎて力強さに欠けるようで微妙。

  サイドボディは初代の流線型シルエットを表現しようとして上下方向の厚みは割とフラット。その代わり左右方向のフェンダーフレアの張り出しは前期型同様に大きい。

  また先進性の表現のためかキャラクターラインの折れは全体的に控えめで 力強さは薄味。

・カラーリング

  歴代オマージュの新色「イカズチイエロー」は青い空に映えそうな明るい色。その代わりボディ面の なだらかな凹凸を見せるには不利かもしれない。

■フロント (5点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  初代(240ZG)のランプカバーの光の反射をモチーフに2つの半円を上下に並べたランプ。新しいグラフィックだが、目の焦点が定まらず、スポーツカーらしい力強さがイマイチ。(-5点)

  初代の丸目ランプを踏襲するは古すぎると避けたらしいが、現代でも丸目ランプは人気なので避けなくても良かったのでは。

  例えば ポルシェ 911は初代からの丸目ランプを伝統として踏襲。一時期「涙目」ランプにチャレンジしたが、結局は丸目ランプへ戻った。

・グリル

  初代等のオマージュで四角いグリル。初代の横長四角に比べると真四角に近いのでポカンと口を開けているように見え、NHKのキャラクター「どーもくん」に似ている との声もある。力強さ という点ではマイナス。例えば 横長四角なら そう見えなかったものを。(-5点)

  また角丸四角の穴の あるのがグリルの上半分だけなのは不自然なのだが、何か理由が あるのだろうか。

・バンパー

  ノーズの先端がグリルの上辺に一致していてノーズの端のように見える。そうするとノーズやボディが薄っぺらい板のように強度が低そうに見える。(-5点)

  また左右のコーナーには縦のキャラクターライン。エアインテークを設けそうな位置なのに単なる縦線だけなのは平面的で、ボディが薄っぺらく見えることに つながっている。 

カーデザイン

・ボンネット

  初代のオマージュでノーズの先がとがっていたり、ボンネットに角ばったパワーバルジがあるのは力強い。

  エンブレムがZマークでなく、ニッサン ロゴなのはコアなファンには残念ではないか。

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

・ルーフ

  伸びやかなルーフラインを強調するため ルーフラインの横に「日本刀」をモチーフにしたシルバー メッキ モール。日産 アリアと同様の表現でスタイリッシュ。

  しかし ルーフとサイドボディを分断していてボディの一体感と塊感を阻害しているし、シルバー メッキの光り物はスポーツカーらしい迫力にマイナス。言わば 陸上選手がネックレスをしているような感じ。アリアのようにプレミアム感を出したいなら合っているのだが。(-5点)

フェンダー、ドア

  フロント フェンダーからドアにかけて後ろ下がりのキャラクター ライン2本。またサイドシルにはウェッジ形のサイドスカート。

  これらはリア側をスリムに見せて、初代オマージュの流線型シルエットの強調には効果的。その代わりフロント側は分厚く見せるのでプラマイ ゼロ。

  ドアハンドルはドアの面にフラシュ サーフェイス化されていてスタイリッシュ。

・ウィンドウ周り

  サイドウィンドウは基本的に前期型と同様だが、より なだらかな形状。

  サイドウィンドウの後ろにはZマーク。ノスタルジックなファンは嬉しいのでは。

・タイヤ、ホイール

  18インチのスポーク ホイールは初代のオマージュだそうだ。

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  初代や4代目等のオマージュで両端のランプの間を黒いガーニッシュで つないだ伝統的デザイン。その両端の横長ランプは最新技術の2重のリングで立体的になった先進的なデザイン。まさにテーマ通り。

・バンパー

  黒いディフューザー部分が大きくて「出っ尻」ぽい。全体が黒いので目立ちにくいが微妙。

・ウィンドウ周り

  リヤガラスの下部には「Since 1969-」と歴史が表示されているそうだ。こういう仕掛けもファンには嬉しいだろう。

・ハッチ

  プロトタイプになかったダックテールを追加。控えめな大きさで現代的。

■おまけ (デザインクリニック提案)

カーデザイン

リファイン案

  例としてレビューで気になる点について見直し案を提案する。テーマは「原点回帰」と「細マッチョ」。

  モチーフはGノーズのフェアレディZ (初代 240ZG)。フェアレディZの原点はスリムなマッスルカー(細マッチョ)で立体的な迫力あるデザイン。その特長はシボレー コルベット(8代目)がミッドシップに変わってしまった現在でも活きるはず。

  主なポイントは以下の通り。

・ロングノーズ、ショートデッキに近づけるためプロポーションを少し変更

  ノーズを少し延長し、フロント タイヤを少し前へ

  (フロント ミッドシップに近づけ、前後重量配分も改善)

  フロント ウィンドウを傾け、サイドウィンドウとルーフを少し後退

  (ヒップポイントも少し後退し、大エンジンFRらしいポジションに)

  ベルトラインを少し下げ、サイドボディをスリムに見せる

カーデザイン

リファイン案

・フロントフェイスは初代等のオマージュで迫力を出す表現へ

  立体感と目力のある丸目ランプ

  ノーズを厚く見せ、引きしまった横長のグリル

・オーバーフェンダー、エアロ デバイスでレトロでノスタルジックなスポーツカーらしさ

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z/gallery.html

https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z/exterior.html

https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z.html

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