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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

三菱 アウトランダー 2021  (C 65点)

カーデザイン

グラフィカルなデザインが目立つ もっと機能的な方が三菱らしいのでは

■まとめ  (C 合計65点/100点満点)

  三菱 アウトランダー (3代目)は 海外での販売好調が報道されていた。グッドデザイン賞やiFデザインアワードを受賞してデザインも好評価らしい。しかし このレビューでは どうだろうか。

  商品コンセプト「威風堂々」は 力強さ、頼もしさ、上質感。その他にも様々なデザイン テーマやポリシー等が たくさん有って バランス良いデザインにするのが大変だ。

  プロポーションは全体がフラットなので車格が大きく見えてコンセプト通り。同クラスの競合車よりサイズが大きいだけでなく見た目も立派。

  ところがディテールは デザイン ポリシーの「楽しいディテール」等のためか 新奇性のあるグラフィカルな表現が多く、機能性が損なわれて見えて残念。

  例えばオフローダーなら足回りやボディの強度が重要だが、レリーフフェンダーフレアを削っていたり、ルーフとDピラーの間に すき間があったりして 強度が弱いように見えてしまう。

  また見た目だけでなく、デザインのため実際に機能を損なっている点もある。車格感で20インチ ホイールを採用し オフローダーなのに扁平な45タイヤ。3列シートなのにリアウィンドウの傾斜が強い。

カーデザイン

  やはり 機能に基づかないグラフィカルな表現は デザイン要求の居住性や走破性の表現に合わない。

  ラリー等で培われたオフロード四輪駆動技術が特長の三菱自動車なら もっとオフローダーらしい機能的なデザインに した方が ブランドに合っているのでは。新規性は 機能的な表現の味付け程度にして。

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■主な比較対象車

・三菱 アウトランダー (先代)

・三菱 エクリプスクロス (同門車)

・三菱 デリカ D:5 (同門車)

日産 エクストレイル (競合車)

トヨタ RAV4 (競合車)

・スバル フォレスター (競合車)

ボルボ XC60 (競合車)

  ■キャラクター

 

・ポジション

   2021年モデルチェンジした三菱 アウトランダー三菱自動車のフラッグシップとなるミドルクラスSUV。日産 エクストレイルとプラットフォームを共通化しているらしい。

  新型は価格帯が上昇し、商品コンセプト「威風堂々」による 力強さ、頼もしさ、上質感を狙ったそうだ。

・ユーザー

  ターゲットは家族で遠出してキャンプ等をするような40〜50歳代のファミリー層。

・用途

  ユーザー調査によると 家族を乗せて安全・安心に色々な所に行きたい というニーズがあるらしい。

・デザイン要求

  つまり家族で乗れる居住性、オフロードの走破性、堂々とした車格感を表現するデザインが必要だ。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

  キーワードは「BOLD STRIDE」。その意味は ダイナミックに前へ前へと進むイメージ、ドライバーのポジティブな気持ちを引き出すこと だそうだ。

  ダイナミックという言葉のニュアンスからすると走破性より走行性能を重視している感じか。オフローダーらしさという点では微妙。

・スタイル

  デザイン テーマの他に 以下の通り 様々なデザイン ポリシーやデザイン スタイルが有って、これらを全て盛り込んでバランスの良いデザインを作るのは難しそう。特に上質感やワクワク等の すぐにカタチに結び付きにくいキーワードの意味が いか様にでも解釈できて混乱しがち。

  例えば デザイン要求の走破性の機能やコンセプトの上質感の落ち着きと「楽しいディテール」の新奇性が矛盾しそうだ。

  かと言ってデザインテーマは微妙だし、出されたアイデアやモチーフはディテールばかり。もっとテーマを具体的にするか、優先順位の整理が必要では。(-5点)

・商品コンセプトは「威風堂々」。力強さ、頼もしさ、上質感。

・デザインポリシーは「Robust & Ingenios」。Robust はタフネス、力強さ、たくましさ、寛大さ。Ingenios は人をワクワクさせる創意工夫、想像力を刺激するフォルム、期待を裏切らない機能性、楽しいディテール。

・ボディは「SCULPTED SOLIDITY」。塊から削り出したようなシャープなエッジの効いたキャラクターライン、張りのある豊かな面。

・フロントフェイスは「DYNAMIC SHIELD」。左右と下からのボディでプロテクション。ランプは分けて、デイタイムランニングランプが上、ヘッドランプが下。

・リアは「HEXAGUARD HORIZON」。ハッチは六角形モチーフ。ランプは水平基調でT字型。

・アイデア

  堂々とした車格のため ミドルクラスSUVでは珍しい20インチのホイールを採用。

・モチーフ

  Dピラーは 飛行機の垂直尾翼がモチーフ。飛行機が前へ進むイメージらしい。

・パッケージング

  新型は エンジン車だけでなくPHEVでも7人乗りのグレードを設定。

  サイズは 先代に比べて 全長、全幅、全高、ホイールベースの全てで拡大。プラットフォームを共通化するエクストレイルと比べて ホイールベース以外の全てが大きい。

■全体デザイン (10点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  ルーフライン、ボンネット、ベルトラインが ほぼフラットで 車格が立派に見えてコンセプト通り。競合するトヨタ RAV4やエクストレイルよりもフラットだ。

  ところがリアウィンドウの傾斜は強い。2列シートのRAV4なみで 3列シートの居住性が良さそうに見えない。(-5点)

カーデザイン

アウトランダー、下 RAV4

・フォルム

  SCULPTED SOLIDITYの表現で  サイドボディに大きなレリーフ。そのレリーフフェンダーフレアを削いでいて 足回りの強度感も削いでいる。(-5点)

■フロント (15点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  DYNAMIC SHIELDに沿って 上下3段に分かれたランプ。上下のランプは シャープな四角い形状で グリルからX字形に伸びた線上に 上手く収まっている。しかし 中央のヘッドランプは 楕円を崩したような形状で 周囲のランプや面の流れに馴染まず、取って付けたようで違和感。(-5点)

  初めてDYNAMIC SHIELDを三菱 デリカ D:5で見た時は すごい発明だと感激した。X字型のデザインは デリカ D:5のようなミニバンの幾何学的なフロントフェイスにピッタリだった。

  もちろん ミニバン以外でも上手く配置すれば 馴染ませられる。例えば 三菱 エクリプスクロスのヘッドランプは 周りのランプや面に馴染む形状だ。

カーデザイン

アウトランダー、右 エクリプスクロス

・グリル

   DYNAMIC SHIELDに沿って 黒く四角いグリル。

・バンパー

  DYNAMIC SHIELDに沿って 左右と下からグリルに押し寄せるような形状。

  左右のメッキ モールが すごく目立っているので そこだけ飛び出たみたいに見えて フロントフェイスの一体感が弱い。中央の黒いグリルが中抜けして 上下左右がバラバラな感じで 微妙。

  アンダーガードは 大きめのリブで 強度感ある表現。

・ボンネット

  縦のラインが何本も走っていて、力強さは有るものの 煩雑(ビジー)にも見えて上質感としては微妙。

■サイド (5点/20点満点)

カーデザイン

フェンダー

  フェンダーアーチにプロテクター(クラッディング)。その周りにキャラクターライン。その外側に レリーフ。さすがに3重なのは煩雑(ビジー)に見えて 上質感はイマイチ。(-5点)

・ドア

  ドアがサイドシルをカバーしているので 乗降りで脚が汚れにくい。

・ウィンドウ周り

  飛行機の垂直尾翼をモチーフにしたDピラーは ルーフとの間に すき間が空いていてルーフを支える力強さが弱い。

  そのうえ尾翼の形状も抵抗の小さな後退翼ではなく、抵抗が大きめの前進翼なので テーマの前進感に合わない。(-5点)

・タイヤ、ホイール

  車格感のために採用した20インチのホイールは見栄えがする。

  しかしタイヤが扁平な45タイヤなのは オフローダーの機能としてマイナス。(-5点)

  また タイヤの面とボディの面が面一になるよう工夫したそうだが、オフローダーの機能的としてはプラスにならない。

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  HEXAGUARD HORIZONに沿って 水平基調のT字形ランプ。このカタチは ボルボの「トールハンマー」そっくり。

  ボルボは フロントランプなので一緒ではないが、パクリと言われないか 気になる。どうせなら違うカタチが良かったのでは。例えば三菱だからM字形とか。

・バンパー

  アンダーガード(風?)のデザインは オフローダーらしい表現。

・ハッチ

    HEXAGUARD HORIZONに沿って 六角形のレリーフパジェロのタイヤがモチーフだそうだが、そうは見えない。

  六角形をモチーフにしているスバルのフォレスターあたりに似ていないか気になったが、アウトランダーの方が 大きな六角形なので それほど似ていなかった。

■おまけ (デザインクリニック提案)

  例として レビューで気になる点について 見直し案を提案する。テーマは機能的な「頑強オフローダー」。モチーフは 強度感を表現する「面取り四角」。

  オフローダーは 頑強そうな方が 壊れずに どこまでも行ける気がしてデザイン要求の走破性やテーマのBOLD STRIDEに合っている。

  そしてポリシーの Ingenios における新奇性は オフローダーらしい機能性を損なわない範囲とする優先順位。

カーデザイン

リファイン案

  主なポイントは以下の通り。

・プロポーションは3列シートのスペースのため少しだけ変更

  ルーフを少し後ろへ伸ばし、リア ウィンドウを 少し立てた

  3列シートのグレードもあるため  リア側のスペースを大きくした

・フォルムやグラフィックは頑丈そうな「面取り四角」に整理

  ルーフライン、ボンネット、サイドウィンドウ、フェンダーフレア、

  ランプなど

カーデザイン

リファイン案

・フロントフェイスは一体感とアイコン化

  左右のメッキ モールを黒くして顔の一体感をアップ

  デイタイムランプの目力を強くしてアイコンに

・サイドボディは力強いオフローダーらしく

  フェンダーのライン等を減らしてフェンダーフレアを強調するカタチに

  ロアボディ周りにプロテクター(クラッディング)を追加

  Dピラーの すき間をなくして太くて頑丈そうに

・オフローダーらしくタイヤの扁平率を見直し

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/outlander_phev/special/index.html

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/outlander_phev/exterior/

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/eclipse-cross/exterior/

https://corolla-akita.jp/rav4

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