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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

トヨタ RAV4 アドベンチャー 2019 (C 70点)

カーデザイン

チャレンジする勇気。オンロード化するSUVのトレンドに対するアンチテーゼ

■まとめ (C 合計70点/100点満点)

  初代発売開始から25年経ったトヨタ RAV4 (5代目)は次の25年を戦うために価値を再定義し直したチャレンジが立派だ。SUVのパイオニアの1台だったRAV4の再定義は最近のオンロード化するSUVのトレンドに対するアンチテーゼのようだ。トヨタの狙い通り、SUVのトレンドへの楔になるかは分からないが。

  デザイン作業もチャレンジングで驚いた。アイデア3案の全てに1分の1モデルを作成したところで、もう一度ゼロからやり直した。普通ではない意気込み。それだけコンセプトに悩んだのか。

  そして考えられたモチーフは「クロスオクタゴン」という八角形を組み合わせた形。つまり従来の丸っこいフォルムから角ばったフォルムへのリセット、従来のオンロード寄りのクロスオーバーSUVからオフロード寄りのクロスオーバーSUVへポジションを見直した。これはSUVだらけの現在でも意外とニッチで面白いかも知れない。例えば、4駆のイメージが強いジープ チェロキーやスバル フォレスターでも もう少しオンロード寄りのデザインだ。

  デザイン結果は遠目にはインパクトあって良さそうだが、近づいて良く見るとインパクト重視のカタチが勢い余って、テーマや機能性を置いてきぼり。走破性とユーティリティがテーマなのに、出っ張ったアンダーガードや傾斜の強いリアウィンドウ等が機能的でなく、テーマに合っていない。タフなスタイルで印象的なフロントフェイスも足し算タップリのデザインで、飽きるのか早くないか心配だ。例えば、トヨタ タコマ(3代目)は似たようなデザインスタイルだが、もっと明快で機能的に整理されている。

  逆に言えば、狙いは面白いのだから今後のモデルチェンジで完成度が どんどん上がっていくことを十分期待できる。悩んだ末の勇気あるチャレンジは応援したい。

■主な比較対象車

トヨタ RAV4 (先代)

トヨタ ハリアー (姉妹車)

トヨタ タコマ (同門車)

・スバル フォレスター (競合車)

ジープ チェロキー (競合車)

■キャラクター

・ポジション

   2019-2020年 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したSUVトヨタ RAV4トヨタでの年間ベストセラーらしい。(世界中、1モデルで。複数モデルでベストセラーのトヨタ カローラは別にして)

  RAV4 (初代)誕生から25年経ち、次の25年を戦うために商品価値を再定義して強い独自性を打ち出そうと考えたそうだ。SUVが増えて魅力が薄れている現状を打破しようとしたらしい。自動車マーケットに強い危機感を持つトヨタらしいチャレンジだ。

  そんな大胆なチャレンジが出来る理由の1つは全く違うスタイルの姉妹車であるトヨタ ハリアー (4代目)と住み分けできることだろう。全方位戦略が さすがトヨタだ。

・用途

  初代からのRAV4の価値は「どこにでも行けそうな気がする」と「使い勝手がよさそうな空間を持っている」だそうだ。(本格的な走破性やスペースではない)

・ユーザー

  ファミリーとかパーソナルとか限定しないマルチなユーザーでマルチに使える車らしい。

・デザイン要求

  RAV4の価値を明確に表現し、競合するSUVから差別化できるデザインが求められる。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

  デザインというより企画かもしれないが、次の25年を戦うために価値を再定義し直し、SUVのトレンドに楔を打とうとしたたチャレンジが立派だ。(+10点)

  キーワードは「Adventure & Refined」。アクティブで力強いワクドキ感と都会にも似合う洗練さ という意味らしい。都会はオンロード寄りのテーマなのでRAV4のテーマとして違和感がある。ハリアーとの差別化が あいまいだ。

  デザイン結果を見ると、都会や洗練は あまり表現されていない。機能的でないデザイン要素があったりして、むしろ洗練に反している。テーマ倒れか。(-5点)

・アイデア

  テーマの具体化は以下の項目をポイントにしている。これらはクリスカントリー車のようなアイデアで、アクティブというテーマにピッタリだ。一方、洗練の方は特に具体化が見られない。

①ビッグフット: 走破性の高さをイメージさせるクラス最大のタイヤ外径

②リフトアップ: どんな悪路でも走破できそうな力強い土台・足まわりを象徴するリフトアップ感とプロテクト機能

③ユーティリティ: 本格SUVならではのワクドキを感じさせる多用途性と様々なレジャーシーンを想起させるキャビン表現

  しかしデザイン結果を見ると、競合車に比べてユーティリティを重視していない。カタチ重視でアイデア倒れか。(-5点)

・モチーフ

  モチーフは「クロスオクタゴン」。横向きの八角形と縦向きの八角形が前後に かみ合わさった形。フォルムのイメージを明確化するのに役立ったようだ。

  これは大きく面取りした四角の組合せとも言える。面取りは走破性の表現らしい。それが全ての形状まで徹底していないのは残念だ。低重心シルエットや出っ張ったアンダーガード等により走破性を損なっている。クロスカントリーまで狙わないにしても機能的に見せないと、取って付けたパチモノ感が出てしまう。(-5点)

・スタイル

  トヨタのデザインスタイルである「キーンルック」、「アンダープライオリティ」は はっきりとは適用されていない。そんな自由さが新しいチャレンジには向いている。

・パッケージング

  新しいトヨタのプラットフォームTNGAになったが、全長、全幅は先代(4代目)と あまり変わらない。全高は先代に比べて大きくなり、チェロキー等の競合車に近づいて存在感が増した。

■全体デザイン (10点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

    競合車に比べて全高が やや低め、ルーフが短め、リアウィンドウの傾斜が強く、ユーティリティを重視するコンセプトに合っていない。(-5点)

・フォルム

  八角形の表現は あまり明確ではない。フロント側は平面形の面取りやブリスターフェンダーの伸びやかさ等で なんとなく表現されている。キャビンからリア側は八角形というより六角形のシルエット。別に六角形でも良いのだが。

  車全体は低重心シルエットで、特にリアの下側が出っ張った「出っ尻」。デパーチャアングルを狭めるので、走破性を重視するコンセプトに合わない。(-5点)

■フロント (15点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  角ばったフォルムに沿った外形状。下辺が斜めに切り上がっているが、ブリスター フェンダーに沿っていて違和感はない。

・グリル

  アッパーグリルの中をビームが2本も横断している個性的な表現。八角形に あまりこだわっていないのか、六角形の外形状。スバルの六連星にちなんだ六角形をモチーフにしているスバル車とイメージ的に被らないか ちょっと気がかり。

・バンパー

  角ばった深い凹凸はタフなスタイルの表現として印象的。しかし折り重なった面が多すぎて煩雑。洗練というテーマに反している。

  さらにロアグリルの周りにプロテクター、その上に重ねてアンダーガード。足し算タップリのデザインで、飽きるのが早そうだ。それに出っ張ったアンダーガードはアプローチアングルを狭めていて機能的でない。(-5点)

  例えば、トヨタ タコマもRAV4と似たような構成だが、もっとスッキリ整理されている。

・ボンネット

  ここだけ角丸の面。バンパーの凹凸とバランスをとる狙いや洗練の表現なのか。他のデザインとの整合性は微妙。

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

・ルーフ

  ルーフレールのような表現。機能的でない加飾は飽きるのを早めないか心配。

フェンダー、ドア

  キャラクターラインやブリスターフェンダー八角形を表現。リア側はラインとブリスターが やや干渉しているように見えるが、それほど目立たない。台形のホイールアーチも八角形に合っている。

  ホイールアーチやサイドシルにプロテクターを付けて、タフなスタイルを表現。目立たせるためか、それらのプロテクターがつながっておらず、すき間がある。機能的でなく、洗練されていない。(-5点)

・ウィンドウ周り

  ベルトラインは ゆるい後ろ上がりで、視界は良さそうだ。六角形に近いウィンドウ グラフィックもボディに合っている。

■リア (5点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  フロント側より角ばった平行四辺形の外形状。下辺の角が尖り過ぎて、ブリスター フェンダーに食い込んでいるのは やり過ぎ。もっと控えめの方が八角形(六角形)のフォルムをクリアに見せられるのでは。

・バンパー

  バンパーの下側に厚いプロテクターが飛び出し、さらにアンダーガードが飛び出す、足し算たっぷりの「出っ尻」。デバーチャアングルを狭めていて機能的でない。(-5点)

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://toyota.jp/rav4/gallery/?padid=from_rav4_top_navi-menu_gallery

https://corolla-akita.jp/rav4

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  • 発売日: 2019/04/27
  • メディア: ムック