生産終了はショックだが、クラウンの進化と考えて後継車を予想した
■まとめ
トヨタ クラウンのセダンが生産終了と報道されて、日本の伝統が また1つ消えるとショックを受けた。その後の報道を見ると信ぴょう性が高そうだ。そして後継車は新しい「セダンプラス」というカテゴリーになるらしい。
これもクラウンの進化と前向きに受け止めて、後継車「クラウン セダンプラス(?)」の予想と期待を考えてみた。
その結果、後継車はアウディQ8をノッチバック気味にしたプロポーションになると予想。
自分が期待するのはクラウンの伝統を活かして、風格ある直線基調の「背高セダン」のような新規プロポーションへの挑戦。しかしスポーティ好きのトヨタは現行クラウンのスポーティ路線を捨てきれないと予想した。
はたして実車が どうなるか後継車の発表が楽しみだ。
■報道のポイント
①セダンの生産を現行型で終了
②後継車はセダンよりも背が高い「セダンプラス」というカテゴリー
(セダン並みに背が低く、カーゴルームの小さいワゴンのことをセダンプラスと言う場合もあるが、ここではセダンより背が高い という意味だと理解)
④2022年に国内販売。その後北米、中国等の海外へ展開。
■現状分析
・現行クラウン
現行のクラウン (15代目) はユーザーの若返りを狙ってスポーティ化。デザインも伝統的な4ライトから窓が幅広い6ライトへ変更。
販売台数は発売当初 先代よりも伸びたが、その後は徐々に低下し、最近では先代を下回っている。従来からの個人ユーザーはスポーティ路線は あまりウケず、法人ユーザーは ミニバンのトヨタ アルファード等へ流れた。外車セダンのユーザーの獲得も進まない。
現行で大きくデザインを変更したのに期待した効果が得られず、セダンへの限界を感じて、新しいカテゴリーへのチャレンジを選択した と思われる。
・セダン
クラウンに限らず、セダンの販売台数は低迷。
そもそもセダンは他のカテゴリーに比べて長所がパッと見で分かり難い。ミニバンの「広さ」、クーペの「速さ」、SUVの「強さ」はパッと見で分かる。それらに対するセダンの長所は「静かさ」「乗り心地」や総合的なバランスだろうが、感覚的な問題なのでデザイン表現が難しい。言いかえると、セダンは その車の与えるアフォーダンスが分かりにくい。
セダンも最近はクーペの同類と見られ、「速さ」をウリにしてファーストバックにした車が多い。現行クラウンも そのトレンドに乗ったが、あまりウケなかった。
■強み/弱み分析
・強み
クラウンの強みは「いつかはクラウン」というキャッチフレーズに示されるように、マーケットリーダーであるトヨタの「トップ」ブランドであること。(プレミアム ブランドのレクサスやショーファードリブンのトヨタ センチュリー等は別として)
トップの強みを活かすにはトップらしい満足感が味わえる車格や乗り心地、そして風格あるデザインが必要だ。
後継車が背を高くするのは居住性の向上という機能的な効果もあるが、トップらしい車格アップが大きな狙いと思われる。例えば、リンカーンやキャデラックがSUVを出してブランド イメージをリフレッシュしたことが連想される。
一方、現行の若者向けスポーティ路線はトップの強みを損なう。ことさら若者を狙わなくても、若者がシニアになった時に乗りたい車であれば良いのでは。
と言っても、最近のトヨタのスポーツ好きは社長が率先していることもあり、簡単には変わらないだろうが。
・弱み
クラウンは歴史が長いだけあって、既存ユーザーのニーズやブランド イメージが確立している。そこから外れることはブランド イメージの棄損に つながるリスクがある。
ユーザー ニーズやブランド イメージの本質を見極め、そこだけは守るような配慮が必要だ。
■予想
・ポジション
後継車が新カテゴリーにチャレンジするなら、リスクヘッジのためトヨタ カローラ フィールダーとツーリングの併売のように現行セダンと後継セダンプラスを しばらく併売するはず。なにしろ現行はマイナーチェンジをしたばかりだ。
・名称
クラウンのブランドイメージは強力だ。後継車も「クラウン」を名乗るはず。セダンと併売するなら、セダンプラスを意味するサブネームが付きそうだ。
・プラットフォームと駆動形式
カテゴリーが変わるなら、現在のFR用プラットフォーム「GA-L」からハイランダーと同じFF用プラットフォーム「GA-K」へ変わるのも分かる。
そうなると後継車の駆動方式はFFが基本になると思われる。クラウンらしいユッタリした乗り心地が得られるなら伝統のFRに こだわらないユーザーも多そうだ。ただし いきなりFFだけになるとFRにこだわる既存ユーザーからの反発が強そうなので、上級グレードとして4WDも提供されると予想。
例えば、ホンダ レジェンドは4WDのみで、その走行性能を特長としている。しかしマーケットリーダーであるトヨタは幅広いマーケットへの対応を考えてFFも用意しそうだ。
・サイズ
歴代クラウンは国内での実用性に配慮して、サイズの変更に慎重だった。現行でも全幅1800mmを超えなかった。しかし後継車は車格アップを目的として、サイズを変えてくるはずだ。
サイズを変えるにしてもトヨタは他車との比較や駐車場等の使い勝手を十分考慮するだろう。特に比較するのは同じプラットフォームを使うトヨタ カムリ、トヨタ ハリアー等で、それらから見劣りせず、なおかつ実用性に配慮したサイズになると思われる。
トヨタ カローラのように国内モデルと海外モデルでサイズを変える可能性もあるが、カローラより販売台数の少ないクラウンは兼用サイズとなる可能性の方が高そうだ。
それらの要素を考えると、後継車は おおよそ以下のサイズと予想。
・全長4950mm カムリより大きく、ハイランダーと同じ
・全幅1850mm カムリより大きいが、一応 立体駐車場対応
・全高1650mm ハリアー並み、立体駐車場ミドルルーフ対応
・プロポーション
現行はスポーティー路線で6ライトのセダンであるアウディA6に似たプロポーション。
後継車は車格をアップするにしても、現行との類似性やスポーティ路線の継続を考えて、結局アウディのSUVであるQ8のプロポーションに似ているだろうと予想。
ただしSUVではなく「セダンプラス」と言っているため、Q8よりもノッチバック気味のデザインにすると思われる。
■期待
後継車がクラウンのブランドを本当に活かすなら、現行よりも伝統的なデザインを踏襲した方が良い。
先代までの落ち着きのある直線基調のフォルム、4ライトで剛性感あるガッシリとした太いピラーの方がクラウンらしい。
後継車の全高はSUVよりも少し低めにして、「背高セダン」という新規カテゴリーでセダンやSUVと差別化するのも面白い。SUVより全高を低めにすれば、タイヤを小さめにしてもバランスが取れ、乗り心地にも寄与できる。例えば、全高1500mm代(立体駐車場を考えると1550mm以下)にすると、競合する車は少ない。セダンより大きく見え、SUVより伸びやかに見える。
■主な比較対象車
・トヨタ クラウン (現行)
・トヨタ カローラ ツーリング (同門車)
・トヨタ カムリ (同門車)
・トヨタ ハリアー (同門車)
・ホンダ レジェンド (競合車)
・アウディ A6 (競合車)
・アウディ Q8 (競合車)
・リンカーン ナビゲーター (参考車)
・キャデラック エスカレード (参考車)
・2020/11/11 中日新聞
<Ref. トヨタ自動車は、高級車「クラウン」についてセダンの生産を現行型で終了し、スポーツタイプ多目的車(SUV)に似た車形の新型車として二〇二二年に投入する方向で最終調整に入った。
二二年に国内で発売する新型車は、北米や中国への投入も予定し、二三年からは米国でも生産する計画。現在、米国で手がけるSUV「ハイランダー」と同じプラットフォーム(車台)を使用する。
https://www.chunichi.co.jp/article/152179>
・2020/11/18 読売新聞
<Ref.トヨタ自動車が、高級セダン「クラウン」の後継モデルを世界で販売することが分かった。
トヨタが18日、販売店関係者に説明した。15代目となる現行タイプの後継車は、スポーツ用多目的車(SUV)に似た形に変更し、セダンよりも背が高い「セダンプラス」という新たなカテゴリーとなる予定という。2022年頃に投入し、まず国内で販売を始め、その後に世界で販売していく計画とみられる。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201118-OYT1T50238/>
■注記
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※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと
※画像の出典
https://toyota.jp/crown/gallery/
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