スバル レヴォーグ 2020 (B 75点)
どうせガンダムみたい と言われるなら全身エッジの効いたデザインを追求したら
■まとめ (B 合計75点/100点満点)
スバル レヴォーグ (2代目)は好評だったコンセプトカー、「VIZIV ツアラー コンセプト」を そのまま量産化しようとした。
VIZIV ツアラー コンセプトはシャープなフォルムが特徴。突き出た六角形のグリル、エッジの効いたキャラクターライン。まるで機動戦士ガンダムみたいなユニークな表現だ。「機械」をイメージして六角形等をモチーフにした、スバルのデザイン スタイル「ダイナミック&ソリッド」にピッタリだ。
レヴォーグはフロント オーバーハングを延長してまでVIZIV ツアラー コンセプトの彫りの深い、エッジの効いたフロント フェイスを再現。ところがサイドボディやリアのエッジは ちょっと甘いので、全体の整合性という点で残念。どうせなら全身ガンダムっぽくした方が良かったのでは。
サイズは先代に比べて拡大。競合車に比べて全高が高く、スポーティさ だけでなくワゴンとしてのスペースとのバランスを考えているようだ。しかし最近は特長を明確化するのがトレンド。セダンやステーションワゴンはスポーティさ優先、スペースが要るならSUVやミニバンという傾向。
レヴォーグも「パフォーマンス×アドバンスト」がキーワードなので、スペースより走り優先のはずだが、もっと全高の低い競合車に比べて、バランス良いと思われるか、どっちつかずと思われるか気になる。
■主な比較対象車
・スバル レヴォーグ (先代)
・スバル レガシィ (同門車)
・スバル インプレッサ スポーツ (同門車)
・トヨタ カローラ ツーリング (競合車)
・アウディ Q3 (参考車)
■キャラクター
・ポジション
2020年に新発売のステーションワゴン、スバル レヴォーグ (2代目)は2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。高い走行性能や安全性能が評価された。
スバル レガシィが大型化したため、レヴォーグ(初代)は より小型の国内専用車。2代目はスバルの国内フラッグシップに なるそうだ。
・用途
「先進安全」「スポーティ」「ワゴン価値」を狙ってるが、特にSUVに出来ないような「走り」がアピールポイント。
・ユーザー
子育てが終わってミニバンを卒業した中年世代で、パーソナルでロングドライブに行きたい人がターゲット。
・デザイン要求
つまり、先進的でスポーティなワゴンのデザインが求められる。例えば、シューティングブレークのようなデザインだろうか。
■コンセプト (20点/30点満点)
・テーマ
「パフォーマンス×アドバンスト」がキーワード。性能と先進性は ありきたりな言葉なので、もっと具体化が必要だ。ワゴンのスペースについては言及されておらず、スペースの優先度が あいまい。パーソナル ユースがターゲットならば、シューティングブレークのようにスペースよりもスポーティさを優先しても良いかもしれないが、そうでもないようだ。(-5点)
・アイデア、モチーフ
ウェッジシェイプでスポーティさを、小さなヘッドランプで先進性を、というアイデアは ありがち。 例えば、競合車のトヨタ カローラ ツーリングも同じアイデア。それ以上の個性的な差別化が必要だ。
ヒントになったのは2018年ジュネーブで発表したコンセプトカー「VIZIV ツアラー コンセプト」。(VIZIV(ヴィジヴ)は「Vision for Innovation」を語源とする造語で「革新のための未来像」の意味)
VIZIV ツアラー コンセプトはシャープなフォルムが特徴。突き出た六角形のグリル、エッジの効いたキャラクターラインやエアインテーク。機動戦士ガンダムみたいと言われるスバル車の中でもシャープさが極まっている。それを そのまま量産化しようとモチーフにした。
・スタイル
スバル インプレッサ (5代目)から始まったスバルのデザイン スタイル「ダイナミック&ソリッド」をレヴォーグも踏襲。「機械」をイメージして六角形等をモチーフにした表現方法。ガンダムらしくも なる訳だ。
そしてレヴォーグは さらに新しいデザイン ポリシーを適用。スバル共通のデザイン スタイルを基本とした上で各社の個性を強調するという考え。スバルは これを「BOLDER(ボールダー)」と言っている。レヴォーグはウェッジシェイプが強調された個性だ。
・パッケージング
新型は先代に比べてサイズが拡大し、全長は5ナンバーの制限を超えた。海外向けに大型化したレガシィ(5代目)に近いサイズで、レガシィより小型というポジションが あいまいになった。
全長が伸びた主な理由はVIZIV ツアラーコンセプトのような彫りの深いフロントフェイスにするため。先代も水平対向エンジンを搭載してフロントオーバーハングが長かったのに、新型は さらにオーバーハングが長くなった。
全高は先代と同様に競合ステーションワゴンより高め。スポーティさとスペースのバランスを考えたのだろうが、最近の特長を明確化するトレンドからすると、どっちつかず と見られてしまうかも知れない。
テーマが走りの性能ならば、全長と全高を もうちょっとシェイプアップしては どうだろうか。(-5点)
■全体デザイン (15点/20点満点)
・プロポーション
ルーフラインは先代同様にBピラー付近を頂点に なだらかに後ろ下がり、リアウィンドウの傾斜も強いスポーティな表現だが、それほど極端ではなく、スペースにも配慮されている。サイドウィンドウの上のキャラクターラインはルーフを実際以上に後ろ下がりに見せている。
ベルトラインは先代よりも高く、後ろ上がりの傾斜が強くなり、小さめの窓とウェッジシェイプでスポーティさを表現。
ボンネットは先代よりも先端が高くなって水平に近づき、伸びやか。
・フォルム
VIZIV ツアラー コンセプトをモチーフに、前へ突き出した六角形のグリルから後ろへ面が流れ、張り出したフロントのフェンダーフレアを突き抜けてリアまで流れていくようなイメージで印象的。グリーンハウスのリア側は少し絞られ、リアのフェンダーフレアの張り出しを強調。
フロントフェイスは VIZIV ツアラー コンセプトと同様にグリル周りもエアインテーク周りもエッジの効いたデザイン。それに対して、サイドボディやリアはエッジが甘く、ボディ全体の整合性がイマイチ。どうせならシャープ エッジで統一した方が他車と差別化できて良かったのでは。(-5点)
■フロント (20点/20点満点)
・ランプ
ヘッドランプは先代に比べて小型化し、外形もシャープになってフォルムに合っている。グリルからの面がランプに食い込んでいるが、フォルムに沿っているので不自然ではない。その食い込みの おかげでランプのコの字形状も必然性があるように見える。・グリル
アッパーグリルはスバルのデザイン スタイルである六角形の「ヘキサゴン グリル」。六角形の角を起点にしてキャラクターラインが後ろへ流れていく。
ロアグリル周りはアッパーグリルの流れの外乱にならないようブラックアウト。
・バンパー
バンパーの中央は普通だったら出っ張る所なのに凹面で引っ込めてグリルの突き出しを強調。このためにフロントオーバーハングが大きくなったのだろうが。
その代わりエアインテーク周りはエッジを効かせて大きく張り出していて特徴的。
・ボンネット
エアインテークを なくすことも可能だったそうだが、そうなるとボンネットが高くなってしまうため、結局エアインテークを残すことにしたらしい。水平対向エンジンのスバル車らしいし、エッジの効いたフロントフェイスにも合っていて悪くない。
■サイド (15点/20点満点)
・フェンダー、ドア
大きく張り出したフェンダーフレアの上にキャラクターライン。フロント側が水平に近く、リア側が後ろ上がりで、整合性がイマイチ。またドアのショルダーラインがリア側のフェンダーフレアとの衝突を よけるようにキックアップし、力や流れを上へ逃しているように見えて、力強さやスピード感がイマイチ。(-5点)
例えば、アウディ Q3は前後のフェンダーフレアのキャラクターラインの向きが そろっていて、ショルダーラインが前後のフェンダーフレアを つなげていて、力強い一体感がある。
・ウィンドウ周り
ウィンドウグラフィックはB、Cピラーをブラックアウトして、リア側を細くした伸びやかな流線型でスポーティ感。
ベルトラインが後ろ上がりで、リア側がキックアップしているため、斜め後方視界は先代より劣化。実用上は問題ないだろうが、視界に定評のあるスバル車としては微妙。
■リア (5点/10点満点)
・ランプ
フロントランプと同様に小型化したコの字のランプで整合性。
左右のランプをガーニッシュで つなげてワイド感。
・バンパー
VIZIVツアラーコンセプトはバンパーのキャラクターラインがドアの下側のラインへ つながっていて、全体の一体感を表現しているが、レヴォーグは つながりが あいまいで残念。(-5点)
・ハッチ
ハッチからサイドボディに つながる上下のキャラクターラインでリア全体のワイド感。
・ウィンドウ周り
窓の中央は上下が広くなっていて後方視界にも配慮しているようだ。
■注記
※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価
※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと
※画像の出典
https://www.subaru.jp/levorg/levorg/design/exterior
https://www.subaru.jp/levorg/levorg/
https://www.subaru.co.jp/press/news/2018_03_06_5536/
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