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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

新型トヨタ クラウンは「数打ちゃ当たる」のフルラインナップ戦略 (考察)

カーデザイン

クラウン クロスオーバーは見た目だけSUVっぽいが 中身は背高セダン

国内高級セダンから「でっかいカローラ」へ戦略変更

  2022年4モデル同時発表した新型トヨタ クラウンは世界で20万台を販売目標とする量販車になるらしい。幅広いラインナップを展開して数を売るなんて、まるでトヨタ カローラみたいだ。

  そして新型4モデルのうち最初に発売されるクラウン クロスオーバーはプラットフォームを低コストなFFベースへ変え、装備等もコスパ(コスト・パフォーマンス)を意識して、現行クラウンよりも価格帯を下げている。デザインもアメリカ向け高級セダンのトヨタ アバロンみたいな大型グリルで海外ユーザーにウケそうだ。(クラウン クロスオーバーがアバロンの後継車になるという報道もある)

  伝統的なクラウンに親しんできた国内ユーザーは この変化を残念がっているが、最近のトヨタは伝統を重視しない。「いつかはクラウン」と言っているうちに国内高級セダンとしてのクラウンは終わってしまった。

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■2021年から世界販売戦略は始まっていた

  「クラウン」の世界販売戦略は既に2021年に始まっていた。

  2021年4月 上海モーターショーで新型「クラウン」2モデルを発表。その2モデルとはミニバンのクラウン ヴェルファイア(トヨタ ヴェルファイアの姉妹車)とSUVのクラウン クルーガー(トヨタ ハイランダーの姉妹車)。

  そして2021年5月 アメリカで「トヨタ クラウン」の商標を出願。これはクラウン クロスオーバーのことらしい。(アメリカでは「クラウン クロスオーバー」ではなく単に「クラウン」と言っている)

■新型クラウンは全カテゴリを埋める物量作戦

  中国での2モデルに2022年発表の新型4モデルを加えると「クラウン」と名の付くモデルはミニバン、SUV、セダン(FRベース、FFベース)、クーペとなり、乗用車の全カテゴリを埋め尽くすようなフルラインナップ。BEV 16モデル同時発表みたいに「数打ちゃ当たる」という最近のトヨタが得意とする物量作戦だ。

■ラインナップは「名ばかりクラウン」の寄せ集め!?

  「クラウン」のラインナップを見ると、プラットフォーム、動力源(パワートレイン)、サイズ、デザインがバラバラ。ブランディングに重要な共通する特長(ウリ)が不明なので、「名ばかりクラウン」の寄せ集めに見える。(かろうじて新型4モデルの細いランプは共通的だが)

  元々は現行クラウンのマイナーチェンジだった予定が社長の意向で急に変更され、2年半の短期間で新型4モデルを企画・開発したそうだ。だから従来のクラウンを変えることばかりが目的になり、新しいクラウンの価値を作り上げる時間が足らなかったのでは。

  これではブランディングするどころか、名前だけで価格を吊り上げる「名付け商法」や「ネーム エンジニアリング」等と思われて、ブランドの逆宣伝になるのではないか と心配になる。

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・クラウン クロスオーバー: GA-Kプラットフォーム、HEV

・クラウン スポーツ: e-TENGAプラットフォーム、BEV

・クラウン セダン: GA-Lプラットフォーム、FCV

・クラウン エステート: GA-Kプラットフォーム、HEV

・クラウン クルーガー: GA-Kプラットフォーム、ICE、HEV

・クラウン ヴェルファイア: GA-Kプラットフォーム、HEV

(※プラットフォーム、動力様式は報道の推測による)

■クロスオーバーは見た目だけSUVっぽいハリボテ

  新型4モデルのうち3モデルはクラウン クロスオーバーの後から追加されたらしい。だから各モデルのキャラクタが整理できていない印象。

  クラウン クロスオーバーはオフロード向けのプロテクター(クラッディング)や乗り心地に不利な大径ホイールを付けたSUVのような見た目だが、最低地上高が低いのでSUVのような走りは出来ず、リアハッチがないのでSUVのような使い方は出来ない。見た目だけSUVっぽいハリボテ。

  つまり実際の中身はトヨタも「リフトアップ セダン」と言っている通り、背高セダン。本来セダンは乗り心地、静粛性、フオーマル等を特長(ウリ)としたカテゴリ。だからオフロードやカジュアル用のプロテクターはセダンに似つかわしくない蛇足。

■クロスオーバーの内外不一致は革新を見せたい見栄のせい!?

  クラウン クロスオーバーの見た目と中身の不一致は社長に求められた革新性をアピールしようとしてセダンなのにSUVの要素を欲張って盛り込んだためだろう。クラウン エステート等はクラウン クロスオーバーの後から企画されたので、SUVとの住み分けも考えていなかっただろうし。

  想像だが、社長に「ワォ!」と言わせるために背高セダンをSUVっぽくしたら、社長に「セダンも考えろ」と言われてしまって慌てた姿が目に浮かぶ。背高セダンとセダンのラインナップだと偏っているから、プラットフォームを変えたり、SUV等を追加したくなるのも理解できる。

■クロスオーバーはセダンらしさを もっとアピールしたら

  そもそもクラウン クロスオーバーのことをトヨタも「リフトアップ セダン」と言っているし、アメリカではクロスオーバーと言っていない。

  だからクラウン クロスオーバーは中身に合わせて もっとセダン寄りの見た目にして、セダンらしい特長を宣伝した方がユーザーに本質を理解され易いのではないだろうか。

  例えば、セダンに蛇足のプロテクターを無くしたグレードを追加するとか。その方が国内の歴代クラウン(セダン)やアメリカのアバロンの既存ユーザーを取り込み易くなる と思われる。新型クラウンはカローラと違って、現行の併売をしないのだから。

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上 クラウン クロスオーバー、下 アバロン

カローラは統一感あるラインナップで国内も重視

  世界1の量販車種であるトヨタ カローラとクラウンのラインナップを比べてみると、カテゴリの幅広さは似ているが、内容は全然違った。

  カローラはカテゴリが幅広いのにプラットフォームや動力様式が統一され、サイズやデザインも似通っている。だからラインナップ全体に統一感があり、ブランド イメージを強化し易い。さすが世界ベストセラーのラインナップ。

 さらに世界での量販だけでなく、国内販売や国内ユーザーを重視している。全幅の狭い国内専用のボディを開発したり、サイズの大きい新型だけでなく5ナンバーサイズの先代を併売して、コンパクトさを重視する国内ユーザーにも配慮した手堅いラインナップだ。

  最近のトヨタには珍しく、カローラのブランドや伝統を大事にする姿勢は うれしい。  クラウンもカローラを見習わないだろうか。

■まとめ

  新型クラウンは絨毯爆撃的なフルラインナップだが、共通する特長(ウリ)が不明な上に中身がバラバラなのでブランディングに不利。世界ベストセラーであるカローラのラインナップを見習ってはどうか。

  新型4モデルのトップバッターであるクラウン クロスオーバーは中身がセダン。だから 中身に一致したセダン寄りのデザイン(例えばプロテクターなし)のグレードを追加し、セダンらしさを宣伝して、既存ユーザーを取り込み易くした方が良いのではないだろうか。

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://toyota.jp/crown/?padid=from_crownBrand_crossover_linkButton_detail

https://www.toyota.com/avalon/

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