レビュー全車中で最低点のD評価だったbZ4Xのリファイン案を提案
■まとめ
トヨタ bZ4Xは これまでレビューした全車中で最低点のD評価だった。それはトヨタのバッテリ電気自動車(BEV)専用bZシリーズのトップバッターとして期待と責任の大きさのため。しかしトップバッターが最低点ではトヨタの将来が心配になる。
だから「対案なき者 批判すべからず」の精神でリファイン案を提案する。もちろん単なる欠点対策(ネガ消し)だけではなく、新たな特長(ウリ)の表現も提案。
リファイン案のテーマは「本願成就」。本来やりたかった大胆なアイデアを実現。
リファイン案の主なポイントは以下の通り。
①プロポーション
bZ4Xは全席の居住性を目標としていながら、室内高が低く、キャビンや窓が小さかった。
⇒全高を増やし、ミディアムSUVらしい居住性と車格の見栄えのあるプロポーションへ拡大。
②フォルム
bZ4Xのフォルムは段差や凸凹が多く、無塗装フェンダーと相まって安っぽく見えた。
⇒ bZ4Xの「御本尊」の良さを活かして、先進性を表現するメリハリあるフォルムを提案。
「御本尊」とはbZ4Xのデザインで参考にされたスケールモデルのこと。滑らかな上半身とシャープに張り出したブリスターフェンダーの対比が見事だった。
しかしbZ4Xの実車ではフォルム全体が煩雑にガタガタし、そのせいでブリスターフェンダーも曖昧になり、スケールモデルの良さが失われてしまった。
③フロントフェイス
bZ4Xのフロントフェイスは新たに考案した「ハンマーヘッド」(シュモクザメ?)をモチーフにしたが、ユーザーには意味が分からず、ボンネットが無用に凸凹してしまった。
⇒トヨタのデザインスタイルである「キーンルック」と「アンダープライオリティ」を踏襲。
さらにトヨタ ブランドの特長(ウリ)である「高信頼性」を表現するEV用フロントパネルを提案。
■レビューで減点された主な要因は?
・テーマ、アイデア
先進性をスリーク(滑らか、伸びやか)で表現するアイデアだが、フォルム等への適用が徹底されず、車全体のカタチがゴチャゴチャしてしまった。
・モチーフ、スタイル
ノーズは「ハンマーヘッド」がモチーフ。シュモクザメのことだろうが、ユーザーには意味不明で、ボンネットが無用に凸凹してしまった。
ハンマーヘッドを除けば、フロントフェイスは ありきたりな表現で、トヨタやbZシリーズのブランドを表現できていない。
・パッケージング
全高はクーペ風SUVのトヨタ ハリアーより低く、さらに床下にバッテリーを載せているので室内高が低く、目標としたはずの居住性が悪い。
・プロポーション
全高が低いだけでなく、ミディアムSUVとしてはキャビンやグラスエリアが小さく、居住スペースや解放感で不利。車格も見栄えがしない。
・フォルム
あちこちに凹面やキャラクターラインや段差が入り組んでいて煩雑(ビジー)。
・カラーリング
無塗装で段差のある樹脂フェンダーが車全体の印象を安っぽくしている。
・グリル
グリルの下側を前へ突き出し、しかも無塗装樹脂とメッキで突き出しを強調しているので、下顎がシャクレたように見えてしまう。
フロントフェンダーはランプやバンパーとの間に段差が あり安っぽい。
ホイールアーチ周りのプロテクター(クラッディング)は上側が分厚く、下側に すき間が空いていて、不自然かつ非実用的なカタチ。
・ランプ
リアランプは斜め下へ垂れ下がり、リアフェンダーへ食い込んでいる不自然なカタチ。
■リファイン案の提案
・テーマ、アイデア
bZ4Xのデザインで参考にされたスケールモデルの見所を 集約して、メリハリあるフォルムで先進性を表現するテーマ「スリーク&シャープ ラギッド」を提案。(スリークとラギッドの相反両立)
①上半身はbZ4Xの元々のアイデア「スリーク」の通り、段差等のない滑らかなフォルムで先進性を表現。
②下半身はSUVらしい力強さを角ばった(ラギッドな)幾何学形状で大胆に張り出したフェンダーフレアで表現し、さらにエッジをシャープにして先進性もプラスしたフォルム。滑らかな上半身との対比でメリハリが効く。
「ラギッド」と言うと、金属加工のイメージで、角張った原形の角を大きめの曲率半径(角R)で面取して「強度」を表現するのが一般的。
「シャープ ラギッド」は大きめの角Rの代わりにシャープエッジにして「硬度」を表現し、より高度な技術であることをアピール。
・モチーフ、スタイル
ノーズの「ハンマーヘッド」は無くして、代わりにトヨタのデザインスタイルである「キーンルック」と「アンダープライオリティ」をフロントフェイスへ適用。
ただしエンジン車の大きなラジエーターグリルをEV用のフロントパネルへ置き換え。フロントパネルの上側はレーダ用のレドーム、下側はヒートポンプ用の小さなラジエータグリル。その間をスリットのグラデーションで つなぐアイデア。
フロントパネルの形状は以下のキーワードでトヨタ ブランドの特長(ウリ)である「高信頼性」を表現。
①骨太→耐久性を表現
強度や剛性の高そうな太めのライン等
②几帳面→高精度を表現
シャープなエッジ、狭くて均一な隙間等
③整然→厳格な品質管理を表現
キチンと配置された幾何学形状等
なお これらのキーワードはニュアンスを理解しやすく、イメージが広がりやすい日本語で考えた。トヨタでは世界に通用するようキーワードを英語にするルールかも しれないが。
・パッケージング
目標とした全席の居住性を満足させるためハリアー並みの室内高となるよう全高をアップ。車格もアップ。
・プロポーション
全高アップに加えてルーフを後ろへ延長して居住スペースをアップ。車格の見栄えもする。
窓を拡大して全席の解放感をアップ。
・フォルム
上半身は凹面やキャラクターラインを減らして滑らかに。
下半身はシャープエッジの幾何学形状でメリハリを。
・カラーリング
樹脂フェンダーを無くして上質感。
・グリル
EV用のフロントパネルへ置き換え。
無塗装をなくし、シャープエッジの幾何学形状で大胆に張り出したブリスターフェンダーで新鮮感。
・ランプ
リアランプはフォルムに馴染んで自然なカタチ。フロントランプの形状とも整合。
■注記
※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価
※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと
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