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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

三菱eKクロス スペース 2020 (C 70点)

カーデザイン

ヒルディセント コントロール付けたなら、もっとSUVらしさを徹底しては

■まとめ (C 合計70点/100点満点)

  三菱 eK クロス スペースは昔からの三菱SUVのユーザーをターゲットにSUVらしさで姉妹車や競合車と差別化する狙い。ファミリー よりもパーソナル ユースを想定していて、スペースの表現よりもSUVらしさを優先できる。車高は上げていないが、ヒルディセント コントロールを装備して、オフロードの走破性を実際に上げている。

  三菱 デリカ D:5等で話題のフロントフェイスのスタイル「ダイナミック シールド」は少しマイルドになったが、それでもシャープなデザインは差別化に効果的。

  SUVらしさのためにアンダーガード風のパーツ等を付けているが、機能的な形状に見えないので、もったいない。例えば、競合車のスズキ スペーシア ギアはスズキ ジムニーのイメージを利用しながら、もう少し機能的に見えるパーツ形状にしている。

  またSUVユーザーだけでなくドレスアップを好むカスタム系のユーザーも狙おうとしたのか、シルバー メッキのガーニッシュが あちこち付いていて、SUVらしさを損なっているのも もったいない。

  せっかくヒルディセント コントロール付けて走破性を上げたなら、もっとSUVらしさを徹底して追及しては どうだろうか。

■主な比較対象車

・三菱 eK スペース カスタム (先代)

・三菱 eK クロス (同門車)

・三菱 デリカ D:5 (同門車)

ホンダ N-BOX (競合車)

スズキ スペーシア ギア (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  2020年新発売の軽スーパーハイトワゴン、三菱 eK クロス スペースは三菱 eK スペース(2代目)、日産 ルークス(2代目)、日産 ルークス ハイウェイスター(2代目)との4モデル同時開発、フロントフェイス等の違いで作り分け。他のモデルとの差別化が重要だ。

名前で「スペース」より「クロス」を前にしたのは三菱 eK クロスと同様にSUVらしさを強調するためらしい。先代に相当する三菱 eK スペース カスタムとは位置付けが変わった。

・用途

  eK クロス スペースは姉妹車と同様の積載性に加えて、ヒルディセント コントロールを装備してオフロードの走破性を高めている。オフロードが得意という三菱ブランドのイメージに合った差別化ポイントだ。

・ユーザー

  軽スーパーハイトワゴンはファミリー向けというイメージが強いが、eK クロス スペースはアクティブなパーソナルユースを狙っている。特に三菱SUVからのダウンサイザーがターゲット。

・デザイン要求

  つまり昔からの三菱SUVのユーザーからSUVらしい走破性、積載性等を期待されるデザインが求められる。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

  「SMILES&FREESTYLE」がキーワード。ユーザーの自由な発想の使い方に対応できる という意味だそうだ。具体的には やはり走破性と積載性の表現ということだろうか。

・アイデア

  三菱らしさのため、三菱 eK クロスと同様にSUVテイストを出すアイデア。そのため黒いモールやメッキパーツを多く使っているそうだ。

  しかしメッキを多用するとSUVらしさが損なわれる。ドレスアップを好むカスタム系のユーザーも狙おうとして、SUVに狙いが定まっていないのでは。(-5点)

・スタイル

  三菱のデザイン スタイル「ダイナミックシールド」をフロントフェイスに応用。

  ダイナミックシールドとはバンパーと一体化した大型グリルと上下に別れたランプという機能的なスタイルらしい。

  適用の仕方はeKクロスやデリカ D:5のように、四角いグリル(シールド)の角から後ろにランプ等が流れるイメージ。eK クロス等とはプロポーションが違うのでランプの配置を変えている。

カーデザイン

左eKクロス スペース、中eKクロス、右デリカD:5

  eKクロスやデリカ D:5はヘッドランプがグリル両側の縦置き。一般的にヘッドランプの置かれる位置には薄いポジションランプが置かれていて、シャープな目つき。ユニークな配置の新しいアイデア。(本来のダイナミックシールド)

  eKクロススペースはヘッドランプがをグリルの斜め上の横置きで、乗用車で一般的な配置。eK クロス等に比べるとユニークさは減ったが、それに近いシャープさは表現されている。(ダイナミックシールドの応用)

■全体デザイン (15点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  競合車であるホンダ N-BOXスペーシア ギアに比べて、ボンネットやベルトラインが低め。視覚的重心が下がって、少しだけワイド&ローっぽい。

  また窓の傾斜が強め、ルーフが小さめで丸まっている。スペースよりもダイナミクス感を優先か。元々スペースは大きいので、ファミリー向けではなく、パーソナルのSUVを狙っているならば狙い通り。

カーデザイン

左上eKクロス スペース、右上タント、左下N-BOX、右下スペーシア

・フォルム

  四角い箱に見せないよう工夫。フロントフェイスはフェンダーフレアに続くゴツゴツ感(ラギッド感)。ゴツゴツと言っても角は丸められていて、ノーズ等の丸まっている所とのバランスは悪くない。それらが立体的なので、短いボンネットも貧弱に見えない。

  サイドボディは前後に通した直線的レリーフでロング感。このレリーフは彫りが深くて、箱らしさを なくす意図に合っているが、サイドボディ全体を くびれさせているので強度感や安定感を損なっている。(-5点)

■フロント (10点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  ダイナミックシールドのスタイルに沿って、フロントランプは斜めに切れ上がった形状。その下に分かれて縦型のポジションランプ等。意外と普通の配置。

・グリル

 アッパーグリルは逆台形と四角が組み合わさった形状。デリカ D:5の四角い形状に比べると一般的。そのグリルの横にはメッキのガーニッシュが置かれ、斜め上と斜め下へ伸びている。ヒカリモノはドレスアップに効果的だが、オフロードを走るSUVに向かない。eK スペース カスタムでドレスアップした名残なのか、スタイルに統一感がない。例えば、スズキ スペーシア ギアのようにブラックのパーツで そろえてはどうか。(-5点)

・バンパー

  ランプやグリルの周りはフェンダーフレアに続く立体的な形状でゴツゴツ感を見事に表現。

  ロアグリルの下にアンダーガードっぽい形状のシルバーのガーニッシュが付いているが、ガードとして機能的に見えず、オモチャっぽく見えてしまう。例えば、スズキ スペーシア ギアのアンダーガードも厚みはないが、もう少しガードらしい形をしている。(-5点)

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

・ルーフ

  eK クロス スペースだけ姉妹車の中でルーフレールの設定が あるらしい。普通ならSUVらしいと思うところでだが、軽スーパーハイトワゴンの高い背の上に荷物を載せるとは あまり思えず、効果は微妙。下手するとオモチャっぽさを強調するのでは。

フェンダー、ドア

  フェンダーフレアはボディ前後側が水平でボディ中央側を丸めた。角丸の全体フォルムに合っている。フレアに続くようなドア下側の抑揚はボディの厚みを感じさせる。

  フェンダーアーチの周りにプロテクター風(ラッピングフィルム?)。SUVらしさの表現として効果的。ただサイドシルのプロテクターとの間にすき間が空いているのは詰めが甘く見えてしまって残念 。(-5点)

・ウィンドウ周り

  全ピラーをブラックアウトした完全なフローティング ルーフで軽快感。ベルトラインの後端を大きくキックアップして個性的。取って付けたようでオモチャっぽく見えなくもないが、チャレンジャーの立場としては目立って なんぼ なので、これもアリか。視界としてはリアクォーターウィンドウが大きいので、影響は それほど大きくない。

■リア (5点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  キックアップしたベルトラインに合わせて、高くて外側の位置にランプを配置。目立つしワイド感もあるが、安定感が微妙。

・バンパー

  下側にシルバーのガーニッシュは単なる飾りか。アンダーガードらしい形状にした方が機能的に見えて良いのでは。(-5点) 

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/ek_x_space/exterior/

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/ek_x/exterior/

https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_d5_standard/exterior/

https://www.honda.co.jp/Nbox/webcatalog/styling/design/

https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/03_exterior.htm

https://www.suzuki.co.jp/car/spacia/styling/

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