普通車ぽく欲張らない自然体フォルムは見事。ダイハツ デザインの御手本になりそう
■まとめ (A 合計95点/100点満点)
ダイハツ ムーヴ キャンバスはスライドドアを備えた軽ハイトワゴンという新カテゴリーへの挑戦。「ナチュラル」というテーマ通り自然体フォルムが見事。
キャンバスはメカと乗員と荷物をフワッと必要十分の曲面で覆っただけのシンプルなフォルムが潔い。小さい車こそ普通車ぽく見せようと欲張らないのが肝心。
そのシンプルな曲面はメリハリがあり、微妙な変化で ちゃんと柔らかさや可愛さを表現できていて素晴らしい。
そして「陶器」や「ジュエリー」という質感を表すモチーフは汎用性があるし、ディテールの表現に効いている。
これからのダイハツ ブランドの御手本になりそうな素晴らしいデザインだ。
■主な比較対象車
・ダイハツ ムーヴ (ベース車)
・ダイハツ タント (同門車)
・ダイハツ ミラ ココア (同門車)
■キャラクター
・ポジション
2019年度国内新車販売台数5位の軽ハイトワゴン、ダイハツ ムーヴ(6代目)をベースにした新しい派生車。軽ハイトワゴンのスライドドアは新しい車のカテゴリー。
・用途
後席スライドドアは駐車場で隣の車に当てる心配がないし、ドライバーシート側が開くためモノを後席に置くのにも便利で、ショッピング等にも向く。しかし自転車等の大型荷物は積まないので軽スーパーハイトワゴンと差別化できる。
・ユーザー
ダイハツ タントは子育てファミリー層が主なユーザーだが、キャンバスは それ以外のファミリー層を想定。その他にダイハツ ミラ ココアが廃番になった後のパーソナルユーザーも対象になりそうだ。
・デザイン要求
つまり新しいスライドドアの用途に合うような新規ユーザー層に受け入れられやすいデザインが求められる。
■コンセプト (30点/30点満点)
・テーマ、アイデア
「ナチュラル」、「愛着」、「アクティブ」がキーワード。さらに具体化して分かりやすい。
①ナチュラルは皆に愛される素の良さ、柔らかいラウンドシルエット。
②愛着は自分らしさ、斬新なツートンのストライプカラー。
③アクティブは ずっと好きになれる、使えるロングシルエット。
なお単にラウンドシルエットやロングシルエットではなく、ストライプカラーと共にフロントランプから始まる流れをボディ全体に流すアイデア。
・モチーフ
ボディのモチーフは「陶器」。ランプのモチーフは「ジュエリー」。これらは形状より質感を示しているため、様々なデザインに幅広く応用でき、それでいて高品質をイメージさせられる素晴らしいモチーフだ。これからのダイハツ ブランドの御手本になりそう。
■全体デザイン (25点/20点満点)
・プロポーション
ダイハツ タントの全高を低くしたようなプロポーション。軽スーパーハイトワゴンの有り余る頭上空間は要らないと見切った。キャビンが長く、頭でっかちなプロポーションは可愛く見えて、愛着につながる。大きめの窓は視界が良く、車内が明るい。
前と後ろの窓は少しだけ斜めになっていて、窓が垂直に近い軽スーパーハイトワゴンより 少しだけルーフが短めで、一応差別化できている。
・フォルム
角丸四角を2つ重ねただけのシンプルなラウンドシェイプ。メカと乗員と荷物を載せるパッケージングをフワッと必要十分の曲面で覆っただけ。他に何も足さない、何も引かない、潔い。小さい車こそ普通車ぽく見せようと欲張らないのが肝心。
そのうえ曲面が単純な幾何学形状でなく、メリハリあるので 、ちゃんと柔らかさや可愛さを表現できていて見事。基本フォルムがシンプルなため わずかな変化が効果的だ。まるで踊りの達人が わずかな所作で感情を表現するようだ。「Less is more」
この自然体フォルムを見ていると、他車は何をそんなに頑張って、わざと凸凹させているんだ と思えてくる。それだけ このフォルムは素晴らしい。(+10点)
・カラーリング
色の選択肢は多く、自分らしさに合っている。塗装は陶器の輝きを狙ったらしい。
ツートーンカラー(ストライプカラー)はフォルムと合っていてスタイリッシュ。特にグレーと組み合わせたツートーンカラーは珍しいオシャレな配色。ホイールの色もボディに合わせてコーディネイト。
しかし選択肢がこれほど多いのに濃いブルーが ないのは自分らしさの表現として片手落ち。女性でも男性でもブルー好きは多い。例えばダークブルーとグレーのツートーンカラーはシックで良さそうだが。(-5点)
■フロント (15点/20点満点)
・ランプ
モチーフの指輪と宝石を表現したランプは、輝きや可愛らしさがある。ランプ内側の丸目を起点にしてボディ後方への流れを示すよう、外形は わずかに切れ長。
・グリル
アッパーグリルは笑顔のように見えて可愛らしい。しかしグリル周りのパネルが薄くてオモチャっぽい。これはバンパーに色分け用の段差を設けて、グリルに回せる寸法の余裕(デザイン代)がなくなったためか。色分けの段差は単色ボディで特に違和感がある。(-5点)
・バンパー
ボディ下部を取り巻いたメッキモールはジュエリーのモチーフに合う。
■サイド (15点/20点満点)
・フェンダー、ドア
フロントからの流れを表現するキャラクターラインが上下に2本。上のラインはフロントランプが起点。下のラインはロアグリルが起点のようだが、関係が曖昧。それらを つなげようとバンパーに微妙な折れ線が入っていて不自然。バンパー起点ならラインでなく、凹面レリーフが良いのでは。(-5点)
フェンダーフレアは丸いキャラクターライン。リアのフレアをドアレールが横断しているのは気になるが、スライドドアの機構のためで仕方ないか。
・ウィンドウ周り
全てのピラーをブラックアウト。シンプルなフォルムをクリアに見せている。
・ホイール
ホイールキャップは丸みのある曲面でラウンドシェイプにピッタリ。
■リア (10点/10点満点)
・ランプ
フロントランプを縦にしたような外形で統一感がある。輝きや可愛らしさも同様。
・バンパー
フロントバンパーと同様の形状で統一感がある。
■注記
※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価
※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと
※画像の出典
https://www.daihatsu.co.jp/lineup/move_canbus/03_exterior.htm
https://www.daihatsu.com/jp/design/vehicle/move_canbus.html
https://www.daihatsu.com/jp/design/vehicle/move_canbus.html
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