姉妹車は見事なデザイン。それと同じスタイルで差別化すると まるで引き立て役
■まとめ (C 合計65点/100点満点)
日産 デイズの初のフルモデルチェンジ(2代目)は姉妹車4モデルの同時開発。姉妹車の違いはフロントフェイスだけなので差別化が難しい。
姉妹車のうち日産 デイズ ハイウェイスターと三菱 eK クロスは各々のブランドのデザインスタイルを見事に表現。
一方、デイズと三菱 eK ワゴンはグリルの中のメッキ ガーニッシュ以外同じで労力軽減。車としてのテーマやアイデアも良く分からない。
デイズは見事なハイウェイスターと同じスデザインタイルながら顔を差別化されて「精巧さ」等が 見劣り。まるで正解を外した、引き立て役みたいに見えて残念。
せっかく姉妹車で作り分けるなら もっと全然違うデザインスタイルが良かったのでは。出来れば顔だけでなくボディも変えて。それが難しければ、モデルを増やさず労力を集中した方が良いのでは。日産だけでなく、日本車は顔だけ違う姉妹車が多すぎかも。
■主な比較対象車
・日産 デイズ (先代)
・日産 デイズ ハイウェイスター (姉妹車)
・ダイハツ ムーヴ (競合車)
・ホンダ N-WGN (競合車)
■キャラクター
・ポジション
2019年度国内新車販売台数4位を獲得した軽ハイトワゴン、デイズの初のフルモデルチェンジ。初めて日産主導で軽自動車を企画・開発。フロントフェイスの違いで、日産2モデル、三菱2モデルの合計4モデルを作り分け。
・デザイン要求
つまり似たような姉妹車の中で存在感を表現しつつ、日産のユーザーから登録車並みと思われるような立派なデザインが求められる。
■コンセプト (20点/30点満点)
・テーマ
姉妹車共通のキーワードは「精巧さ」「躍動感」「信頼感」。よく聞く言葉なので競合車との差別化が上手く出来るのか微妙。もっとテーマの具体化が必要では。
デイズのキーワードは「親しみのあるハンサム フェイス」。これは両立しにくい概念。また顔だけだと全体デザインとの整合性も分からない。やはり車全体のテーマやアイデアが必要では。(-5点)
・スタイル
日産のデザインスタイル「Vモーション グリル」、「ブーメラン ランプ シグネチャー」、「フローティング ルーフ」、「キックアップ ウエストライン」をしっかり適用。しかし単純に適用すると姉妹車との差別化が難しい。適用しない自由も あって良いのでは。(-5点)
なお日産のサイトを見るとデザインスタイルの意図が分かる。
<Ref. https://www.nissan-global.com/JP/DESIGN/NISSAN/LANGUAGE/>
■全体デザイン (20点/20点満点)
・プロポーション
先代は狭く見えるのが課題だったらしい。先代に比べてボンネットとベルトラインが高くなり、立派になった印象。ただダイハツ ムーヴ等の競合車と ほとんど差はない。
・フォルム
先代よりもカクカクしてシャープで明快になった。ボンネット、フロントウィンドウ、ルーフの面が平らに近い。ハイウェイスターのシャープさにはピッタリだが、デイズの親しみやすさには微妙。ハイウェイスター優先で仕方ないのか。
■フロント (5点/20点満点)
・ランプ
先代同様で斜めに切れ上がる外形だが、ブーメランランプシグネチャーの表現で細い鋭角形状に変わった。親しみやすさとは逆の方向では。
そのランプがVモーショングリルの延長線上に はまるはずだが、親しみやすさのためランプを大きめにしたので下に はみ出してしまった。さらにVモーショングリルのV字型メッキ ガーニッシュとランプの間が鼻の穴のような すき間が空いてしてしまった。精巧さに反している。(-5点)
一方、ハイウェイスターのランプは より細い形状。Vモーショングリルの延長線上にピッタリはまり、V字型メッキモールとの すき間もなく、ちゃんと精巧さがある。
・グリル、バンパー
先代で上下2つだったグリルは新型で3つに変わった。1番上はVモーショングリルの表現。そこのV字型メッキガーニッシュは小さいため取って付けたようだし、ランプとのすき間が空く原因となっている。(-5点)
下のグリル2つはラジエータの中央をバンパービームが通るので分割されたもの。開口部の形状は丸まっていて他のデザインに合わない。また2つのラジエータをキャラクターラインで つなげて見せているが、バンパーが区切られて、バンパービームのポン付けを強調してしまっている。(-5点)
一方、ハイウェイスターのグリルは2つ。Vモーショングリルからの流れはサイドボディまでスムースに流れている。大型のV字型メッキガーニッシュは存在感があり、ラジエータの上部まで一体化。ロアグリルはVの対称の逆台形でアッパーグリルになじむ。
■サイド (10点/20点満点)
・ルーフ
新型はフローティングルーフ。ルーフのリア側がキックアップウエストラインに合わせてキックダウン。それらの すき間が まるでノズルのように見えるユニークな表現。個性的なので もしかしたら人を選ぶかもしれない。
・フェンダー、ドア
先代同様に斜めのベルトラインとキャラクターラインで動きを表現。ベルトラインに加えて、フロントフェンダーに1本、ドアに強い2本、線に合わせてレリーフ。またフェンダーアーチに1本、フェンダーフレアに凹凸で2本。最近のキャラクターラインを減らすトレンドからすると くどい表現で、新しく見えない。例えば、ホンダ N-WGNは面がプレーンなのでデザインの寿命が長そうだ。(-5点)
・ウィンドウ周り
A、B、Cピラーをブラックアウト、Dピラーの一部ブラックアウトでワイド感。
斜めのベルトラインの後ろ側を切り上げて、キックアップウエストラインを表現。躍動感は あるが、斜め後方視界を悪化させている。(-5点)
■リア (10点/10点満点)
・ランプ
先代はDピラーにランプが置かれていて ムーヴそっくりだった。新型ではキックアップウエストラインに合わせてランプが少し下がったので似なくなった。また先代よりサイドボディへの張り出しが減ったが、フェンダーフレアを強調する効果は十分だ。
・ハッチ、バンパー
フェンダーフレアの延長で面の抑揚が豊か。ランプ形状にも合っている。
バンパーはハイウェイスターからカラーリングを替えたのでカットラインが目立つが、差別化のため仕方ないのか。
■注記
※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価
※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと
※画像の出典
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/dayz.html
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/dayz/exterior.html
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