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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

ホンダ e 2020 (A 90点)

カーデザイン
ホンダ アシモのようなロボットみたいで親しみやすい未来感

■まとめ (A 合計90点/100点満点)

  ホンダ eは「少し先の未来」をイメージして開発されたが、今まで見たことがない未来ではなく、生活に なじみやすいよう「親しみやすいモダン」がテーマ。車として見慣れた2ボックス形状や表情が変化する丸目のランプ等で親しみやすい。

  そしてシンプルなフォルムで凹凸を なくした「ツルピカ」ボディや機能部品をブラックパネルに収めたカラーリングがモダン。丸っこいフォルムとブラックパネルのグリルで、ホンダ アシモやディズニー アニメ「ウォーリー」のEVE等のロボットのように見えて印象的。記憶に残りやすく、親しみやすい未来を感じる。

  他の電気自動車(EV)のデザインは今まで見ないような未来感を狙ったり、逆に内燃機関自動車(ICV)と同じように見せたりするものが多い。ホンダ eの親しみやすい未来感は両方の良いとこどり。もしかしたら今後のホンダのデザインをリードするかもしれない。

  ホンダ eは「街なかベスト」都市型コミューターと割り切って、サイズとバッテリー容量をコンパクトにした。そのため座った時のポジションが窮屈だったり、エアコンの消費電力を節約するため窓を小さくしてプロポーションがズングリになったりしてしまったのは残念。

  EVとしてのパッケージングは もう少し改善の余地がありそう。それでも素晴らしいデザインなので将来に期待。

■主な比較対象車

ホンダ フィット (同門車)

ルノー ゾエ (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  2020年に新発売されたバッテリーEV(電気自動車)、ホンダ eはバッテリー容量を抑えた都市型コミューター。

  ヨーロッパのCAFE(企業別平均燃費基準)への対策が開発のキッカケ。ヨーロッパが主なマーケットで、販売台数も平均燃費引き下げを目的にして、あまり大量販売を目標としていない。

・用途

  ヨーロッパの街中でのパーソナルユースを想定した「街なかベスト」がキーワード。路上駐車時のサイズや小回り性が重視されていて、搭載スペースや航続距離は割り切っている。そのためバッテリー容量は最近のトレンドに比べて少ない。例えば、競合するコンパクトEVのルノー ゾエ等は50kWh級の容量で、ホンダeの5割増しに近い。

  また2030年頃の「少し先の未来」をイメージして、「シームレス ライフ クリエ―タ―」がテーマ。ネットワークやスマートフォンと接続するソフトウェア等のマンマシン インタフェースを重視して、新しい車の価値を狙っている。

・ユーザー

  富裕層のセカンドカーがターゲット。価格競争力は あまり考えていないようだ。

・デザイン要求

  つまりコンパクトで取り回しが良く、新しい未来的な価値観を表すデザインが求められる。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

  「Affinity & Modern」がキーワード。親しみやすさと現代的なモダンという意味。世界で一番EVが普及している街であるノルウェーオスロへ行き、人の生活に密着したものを作りたい と考えたそうだ。それが親しみやすさ につながった。

・アイデア

  テーマの親しみやすさはクルマとして見慣れた2ボックス形状や表情が変化する丸目のランプ等で表現。モダンはシンプルでツルっとした「ツルピカ」のボディで表現。シンプルな形状は未来でも普遍的という発想。そして象徴的に(アイコニックに)目立たせるため、ドアミラーやドアハンドルやキャラクターライン等の外乱(ノイズ)をなくし、機能をブラックの中に隠した。ホンダはヨーロッパでのシェアが低いため、象徴的に目立たせることを狙ったそうだ。

・モチーフ

  ホンダ創業者の本田宗一郎氏の言う「円は円満、四角は堅実」をヒントに、円と長円(四角の両端が半円)がモチーフ。幾何学的な形状は分かりやすく、象徴的な表現として効果的。

  またホンダ シビック(初代)もモチーフ。過去のデザインを上手く活用している。良いと思える過去のデザインには普遍的な特徴が あるのだろう。

・スタイル

  ホンダのデザインスタイルである、グリルとヘッドランプが連続した「ソリッド ウィング フェイス」は適用されず、新しいチャレンジだ。今後のホンダのデザインをリードするかもしれない。

・パッケージング

  サイズはホンダ フィットと似たような大きさ。フィットに比べて全長が やや短く、全幅が広い。全高やホイールベースは ほぼ同等。しかしグリーンハウスの絞りが強いため、フィットよりもキャビンスペースが狭い。パーソナルユースならば あまり問題にならないが。

カーデザイン

  プラットフォームはコンパクトEV用として新規開発。キャビンの床下に平たくバッテリーパックを敷き詰め、リア側にモーターを配置。この配置の おかげで、低重心と共に前後重量配分と左右重量配分が50:50になって、走行性が高くなったそうだ。

  座った時のポジションに対しては特に工夫した様子は見られない。フィットに比べて、バッテリーのために床全体が高くなっていながら全高を高くしていないので、ポジションに窮屈感がある。(-5点)

  例えば、ゾエはバッテリー配置にメリハリを つけて、全高を高くしなくてもドライビング ポジションが自然になるよう工夫している。

■全体デザイン (20点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  エアコンによる電力消費を抑えるためグリーンハウスと窓を小さくした。一般的には体躯が強調されてスポーティに見えるプロポーションだが、ホンダ eの場合は ちょっと違う。全体が丸っこいフォルムなので、分厚い体躯がズングリと見えて、軽快な走行性能に似合わない。バッテリー容量の余裕のなさがプロポーションにまで影響してしまった。

  EVのバッテリー性能についてのホンダの経験の浅さがデザインにまでも現れてしまったか。(-10点)

・フォルム

  細かい凹凸がなく、全体が1つのシンプルな塊で表現したフォルムは印象的で記憶に残りやすい。シンプルと言っても単純な幾何学形状的ではなく、なだらかな凹凸でタイヤの張り出しやボンネットの丸みが豊かに表現されている。ドアミラーやドアハンドル等が飛び出さず、ガラスの段差やキャラクターラインも少なく、徹底的に外乱(ノイズ)をなくしたツルピカのフォルムは素晴らしい。(+5点)

カラーリング

  装備品をブラックパネルに集約して、シンプルなグラフィックに まとめたカラーリングがシャレている。金属や樹脂等の素材やセンサやコネクタ等の装備を意識させず、タイムレスな表現だ。(+5点)

  ボディの下側をブラックにしてボディを薄く見せようとしているが、ボンネットやベルトラインが高いため効果は十分でない。

■フロント (20点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  親しみやすいシンプルな丸目。ヘッドランプとデイライトとウィンカーの3重の円で、消灯時を含めて、表情が多彩に変化する。

・グリル

  モチーフ通りのシンプルな幾何学形状のブラック パネル。細々したセンサ類を搭載してもスッキリしている。丸目ランプの周りを取り囲んでいて、まるでロボットのように見えて、未来的だ。

・バンパー

  段差がなく、ボディ全体で一体感が ある。

・ボンネット

  RRなのに ふっくらと丸まったボンネットは親しみやすい。この丸みとブラックパネルによってフロントフェイスがロボットのように見える。充電コネクタをブラックパネルで目立たせるのは機能的に分かりやすくしているようだが、いつも使っているユーザーにとっては目立たせる必要はない。EVを意識し過ぎか。

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

・ルーフ

  屋根全体に広がったグラスルーフは解放感に効果的だが、エアコンの消費電力を抑えるために窓の面積を小さくするというポリシーと矛盾している。ガラスはUVカットなので断熱効果は疑問。これもバッテリー容量に余裕があれば良かったのだが。(-5点)

フェンダー

  ホイールアーチ周囲だけ張り出した さりげないフェンダーフレア。ボンネットのカットラインはドアのキャラクターラインに つながってシンプルに見せている。

・ドア

  最小限の大きさのシンプル形状のサイドミラーカメラやポップアップ式のドアハンドルはモダンで高級感。サイドミラーカメラのブラックパネルにウインカーを内蔵しているのも統一感。

  シビックをモチーフにしたキャラクターラインはサイドボディが分厚くて間延びするため入れたようだが、他にキャラクターラインが使われていないので、統一感としては微妙。

・ウィンドウ周り

  サイドウィンドウ周囲の段差をなくし、A、Bピラーやグラスルーフ周りをブラックアウトして全体を一体化して見せるのはモダンな表現。Cピラーをボディ塗装色にしたのは特徴づけのためだろうが、他車でも良く見かける表現なので特徴として微妙。

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ、バンパー

  フロント側と同様に丸目ランプの周りに幾何学的なブラックパネル。バンパーの段差もない。全体で統一感があり、ユニークな表現。

・ハッチ

  ハッチのカットラインがブラックパネルに紛れて目立ちにくい。

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://www.honda.co.jp/design/reddot2020/?from=reddotbanner_e

https://www.honda.co.jp/honda-e/webcatalog/styling/design/

Honda e Press Information 2020.08.27

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