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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

ホンダ シビック 2021 (B 75点)

カーデザイン

シビック セダンからトランクを なくしたら前後ミスマッチのシルエット

■まとめ (B 合計75点/100点満点)

  ホンダ シビック(11代目)は2022年に高性能なタイプRを追加したが、ここでは通常のハッチバックをレビュー。

  モチーフはシビック(3代目) 通称「ワンダーシビック」。その大きな窓と薄いボディを参考に開放的なグラッシーなキャビンと流麗なプロポーションがテーマ。

  プロポーションはサイドウィンドウが広くて開放的、ボンネットやルーフラインが伸びやかでテーマ通り。

カーデザイン

シビック ハッチバック、下 シビック セダン

  ところが全体のシルエットはバランスが悪い。平たく長いエンジンルームは セダンには合うが、ハッチバックの丸っこいキャビンにはミスマッチ。まるで ホンダ アコード (セダン)のトランクを ちょん切ったみたいなシルエットだ。

カーデザイン

  ディテールも グリルに被さるように伸ばしたボンネットやサイドウィンドウ後端に後ろへ尖ったガーニッシュがあったりして 伸びやかなセダンには合うがハッチバックに似合わない。まるでセダン優先のデザイン。

カーデザイン

  新型ほど全長が長くなると ハッチバックらしい軽快で凝縮感あるデザインは難しい。居住性を重視するのはセダンに任せて、ハッチバックには もっと割り切ったサイズや専用のデザインが必要なのでは。

  もしセダンとデザインの共用を続けるならば いっそのことアキュラ インテグラと同様に「5ドアクーペ」にするのは どうだろうか。例えば テーマのグラッシー キャビンを活かせば「グラッシー クーペ」。

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■主な比較対象車

・ホンダ シビック (先代)

・ホンダ シビック セダン (姉妹車)

ホンダ アコード (同門車)

・ホンダ クイント インテグラ (参考車)

■キャラクター

・ポジション

    ホンダ シビックは2021年フルモデルチェンジで11代目。日本ではハッチバックだけだが、海外ではセダンも販売されている。

  ベーシックカーとしての位置付けは初代から変わっていないが、サイズは初代のコンパクトから代を重ねるに従って拡大し、最近ではミドルサイズ。

  シビックは北米で乗用車ベストセラーとなり、2022北米カーオブザイヤーを獲得するほど人気なのでサイズが拡大するのは仕方ないのかもしれない。

・ユーザー

  ターゲットは1990年代半ば~2000年代前半生まれの「ジェネレーションZ」と呼ばれる若い世代。

・用途

  ユーザー調査結果から「親しみやすい存在感(Approachable)」と「充実・凝縮された特別感(Speciality)」を目指した。

  一方 キビキビした走りはシビックの不変的な価値。

・デザイン要求

  つまり若者にとって親しみやすい特別感があり、キビキビとした走りを表現するデザインが求められている。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ、アイデア

  キーワードは「爽快シビック」という全体テーマをデザインに当てはめた「Sokaiエクステリア」。

  具体的には以下の通り。ユーザー調査からの「凝縮」は 無くなったのだろうか。これらはシビックらしいが、タイプRには合わなそうな気もして心配。

・Approachable

  運転しやすく開放的になれるグラッシーなキャビン

・Speciality

  流れるようなプロポーション、シンプルで作りこまれたサーフェイスとディテール

・モチーフ

  モチーフはシビック(3代目) 通称「ワンダーシビック」。その大きな窓と薄いボディを参考にした。

  もしワンダーシビックがモチーフなら「M・M思想」も踏襲して欲しかった。そうすればサイズ拡大の傾向に歯止めが かかったかもしれない。

  (M・M思想とは「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に(マン マキシマム、メカ ミニマム)」というホンダの基本思想)

・スタイル

  グリルとヘッドランプが連続したホンダのデザインスタイル「ソリッドウィング フェイス」の応用か。

・パッケージング

  サイズは先代に比べて全長とホイールベースが少し伸び、全高が少し低くなった。特にハッチのヒンジを工夫して、そこのルーフの高さを先代より50mm下げたそうだ。

  サイズが拡大するのは北米での販売を考えると仕方ないが、ここまで拡大するとハッチバックらしい軽快で凝縮感あるデザインは難しい。

  そろそろ居住性を重視するのはセダンに任せて、ハッチバックには もっと割り切ったサイズが必要なのでは。(-5点)

■全体デザイン (15点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  ルーフラインはBピラー付近をピークにしてテールエンドまで続く山なりのカーブで伸びやか。テーマの流れるようなプロポーションに合っている。

  ボンネットは先代のウェッジからフラットに変更。ノーズを全長ギリギリまで伸ばし、Aピラーを後ろへ引いてボンネットを広くし、車格の見栄えがする。

  ベルトラインもウェッジからフラットに変更。ボンネットからストレートに つながり伸びやかで印象的。

  さらにリアクォーターウィンドウを追加したためサイドウィンドウの面積が広がって、テーマのグラッシーキャビンに合っている。

・フォルム

  シルエットはシビック セダンと違ってバランスが悪い。平たいボンネットの角ばったエンジンルームと山なりルーフラインの丸っこいキャビンが一体感なくミスマッチ。(-5点)

  シビック セダンはアコードを相似縮小したような感じで前後バランスが良いし、長いボンネットからトランクまでストレートに伸びるフォルムが伸びやか。

  一方 シビック ハッチバックはセダンからトランクを切った後に丸っこいハッチを被せたようなイメージ。まるで ホンダ アコード (セダン)のトランクを ちょん切ったみたいだ。

■フロント (10点/20点満点)

カーデザイン

・ボンネット

  ノーズ先端がグリルに被さっていて重苦しい。グリルの彫りを深くするためらしいが、グリルに連続するランプ側は被さっておらず、中央だけ被さるのが不自然で、奥行き感を出す意図にしても微妙。

・ランプ

  ランプは外形が立体的で奥行きがあり、内部の形状が様々で凝っているのはテーマの造り込みには合っている。

  しかし奥まって目つきが悪く、不ぞろいの内部形状は視点が定まらないように見えて、 コンセプトの「爽快」やデザイン要求の親しみやすさに合わない。(-5点)

・グリル

  アッパーグリルは有機的な面ランプに つながり、ハニカム模様。

  ロアグリルは単純な面で(奥にはハニカム模様が あるものの)手前のクロスバーが目立って、上下の統一感が微妙。

・バンパー

  エアインテークぽい形状の大きな黒いガーニッシュにポツンとランプ。ダミーなのは この車だけではないが、パンパーの面から大きく はみ出だして目立たせているのはテーマの流れるサーフェイスに反していてオモチャっぽい。(-5点)

  やはり ダミーではなく実際にエアインテークにして引っ込ませたいところ。

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

フェンダー、ドア

  フロントからリアまでストレートのキャラクターラインがフラットなボンネットやベルトラインとマッチしていて印象的。

  一方 ドアの下側には斜めのキャラクターライン。フロントのバンパーの下とリアのバンパーを つなげる意図だろうが、ここだけ見ると周りのフラットなラインとミスマッチ感があって微妙。

・ウィンドウ周り

  広く流麗なサイドウィンドウが解放感あってテーマ通り。

  サイドウィンドウ後端側をキックアップした先には尖ったガーニッシュ。アコード (セダン)やシビック セダンと同じアイデア。トランクへ流れていくセダンには合っていてもハッチバックは どん詰まりのハッチへ 刺さるように見えてミスマッチ。(-5点)

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  サイドボディから連なるようなリアランプの外側が「コ」の字のカタチ。これはシビック(Civic)の「C」を表現しているらしい。しかしアコードも同じようなカタチなんだけど……

・バンパー

  サイドボディから つながるラインはサイドからの流れが後ろへ抜けていく流線のような表現。リアまで伸びやかさが続いている。

・ハッチ

  なだらかなルーフラインを狙ってヒンジ機構を工夫したハッチ。

  サイドウィンドウまで回り込んで被さって見えるのはユニーク。

  しかし面積が大きいため重そうに見えて微妙。(実際は軽量化に配慮していても 見た目の問題)

■おまけ (デザインクリニック提案)

  例としてレビューで気になる点について見直し案を提案する。テーマは「グラッシー クーペ」。普通クーペは窓を狭くしてキャビンを小さく見せるが、これは真逆の発想。

  ホンダM・M思想に沿って 窓を広くしつつ ピラーやエンジンルーム等をスリムにして クーペのように軽快でスピーディに見せる。

  モチーフはホンダ インテグラ (初代)の「5ドア クーペ」と呼ぶべきボディスタイル。

カーデザイン

リファイン案

  ところで 最近のホンダのデザイン スタイルは車種によってマチマチで、滑らかになったり、シャープになったり方向性がハッキリ分からない。そこでデザイン スタイルも考えた。

  ホンダの特長を「スピードとスペース(SS)の二面性」と捉えた。ホンダはタイプRのようなスピードとM・M思想のようなスペースの相反しそうな両面を追求している。その二面性を表現するアイデアは「ストレート&スプライン(SS)」。

  具体的には ボディの先端側と後端側は 直線でスピード感、その間は ゆったりした補間曲線(曲面)でスペース感を表現する。直線と曲線を ただ混在させるとミスマッチになり易いが、ここでは曲線の両端を直線で引き締めてバランスをとるアイデア

カーデザイン

リファイン案

  見直し案の主なポイントは以下の通り。

・ノーズ前半を少し下げ、フロントウィンドウの傾斜を強めて流線型のシルエットに

・Aピラー付根を前に出してサイドウィンドウを広く

  (Aピラーの上半分は同じなので前方視界への影響は大きくない)

・サイドウィンドウ後ろのガーニッシュをなくしてクリーンな一体感

・ハッチの後ろを少し短く切り落としてメリハリをつけたファストバックに

・サイドボディのラインをへらしてクリーンに

   ドア下側のラインはフラットに

   (ドア下側のラインへ視線の先を下げて低重心感)

・グリルとランプをシンプルにしてアイコン化

   (上下左右のデイタイムランニングライトでホンダの「H」の字を表現)

・バンパーのガーニッシュを実用的なエアインテーク

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://www.honda.co.jp/CIVIC/webcatalog/styling/design/

https://www.honda.co.jp/CIVIC/webcatalog/styling/3d/

https://www.honda.co.jp/ACCORD/webcatalog/styling/design/

https://www.hondainfocenter.com/2022/Civic-Sedan/#how-to-videos

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