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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

トヨタ シエンタ 2022 (C 70点)

カーデザイン

フィアットルノーに似ていると言われても仕方ないほど似ている

■まとめ (C 合計70点/100点満点)

  トヨタ シエンタ(3代目)はサイズを先代から ほとんど変えずコンパクトさを維持。プロポーションは先代から見直し、サイドウィンドウを広げたり、ボンネットを高くして視界や前方見切り等の実用性を向上した。

カーデザイン

上 新型、下 先代

  デザインのキーボードは「シカクマル」。丸まった四角のこと。これはフィアット パンダの「スクワークル」(スクエアとサークルを合わせた造語)と同じ。モチーフが同じならデザインが似ないよう配慮すべきところが、デザイン結果まで似てしまった。

カーデザイン

シエンタ、下 パンダ

  例えば ロゴを中心にして角丸四角のフロントランプをつなぐ黒いガーニッシュ、バンパーを挟んだ大口の角丸四角グリル、ドアに付けた角丸長四角のプロテクター、そしてピラー構成がパンダと同じアイデア。そしてランプのガーニッシュ、グリル、丸まったAピラーはルノー カングーにも似ている。いくらでも他に やりようがあるのに ここまで似てしまったら他車のパクリと思われても仕方ない。先代はオリジナリティあっただけに残念だ。

  もしかしたら他の所で差別化しようとしたのかもしれないが、個性を出そうとして悪目立ち。例えば 下アゴだけ目立たせるグリルのメッキモール、フェンダーアーチの片側しかカバーしない機能的でないプロテクター等。

カーデザイン

  やはり もう少し先代のデザインを踏襲するとかして、フィアット等に似ないオリジナリティのあるデザインを追求すべきだったのではないか。

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■主な比較対象車

トヨタ シエンタ (先代)

トヨタ ファンカーゴ (同門車)

・ホンダ フリード (競合車)

フィアット パンダ (競合車)

ルノー カングー (競合車)

シトロエン ベルランゴ (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  2022年モデルチェンジしたトヨタ シエンタは小型ミニバンらしいコンパクトさを踏襲しながら室内の使いやすさを向上。

・用途

  子育ての家庭にとって一番使いやすい広い空間のクルマ。27インチの自転車がそのまま入るとか小さな子供が立ったまま着替えできるとか。

 ・ユーザー

  主なユーザーは子育てファミリーのお母さん。それと高齢の夫婦。

  先代は主張の強いモノを好むポスト団塊ジュニア世代という想定で個性的なデザインになったが、新型はクルマで主張しないユーザーを想定。

・デザイン要求

  つまり取り回しの良さそうなコンパクト感と広い室内を表現し、自己主張の強くない親しみやすいデザインが必要だ。

■コンセプト (25点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

  キーワードは「ツール感」。日常を彩る ちょっと良い物だそうだ。普段使いができて、仕舞いたくならない、飽きのこないシンプルな道具。

・モチーフ

  キーワードは「シカクマル」。「曲げわっぱ」をヒントに取り回しが良さそうな丸まった四角のこと。

  これはフィアット パンダの「スクワークル」(スクエアとサークルを合わせた造語)と同じ。

  モチーフが同じでも別に悪くないが、デザイン結果まで同じにならないよう十分注意が必要だ。しかし シエンタのデザイン結果を見ると注意が足らなかったのではないか。

  なお 先代の「一筆書き」のモチーフは新型のアイデア スケッチに入っていたそうだが、デザイン結果では表れていない。

・スタイル

  トヨタのデザインスタイル「キーンルック」、「アンダープライオリティ」をフロントフェイスに しっかり適用。

  これらのシャープさやスタンス(踏ん張り感)を強調するスタイルは走行性能の表現には合っているが親しみやすいシエンタには あまり合わないのでは。例えば これらの先代への適用は もっと緩かった。(-5点)

・パッケージング

  サイズは先代に比べて全長、全幅、ホイールベースを維持して、全高を少しだけ増やした。

  競合車のホンダ フリードより全高が低いままだが、室内デザインの工夫で十分と考えて、スペース拡大よりコンパクト感を重視したようだ。

  しかしミニバンのユーザーは3列シートの居住性を含めて室内スペースを重視するので、先代より室内が広がったとは言え、間もなくモデルチェンジすると噂されるフリードとの競争力としては気掛かり。

■全体デザイン (20点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

   ルールラインは先代のフラットから弓なりに変わった。コンパクト感が強まり、スペース感が減った。スペースありきのミニバンとしては微妙。

  ベルトラインは先代よりフラットになり、高さも低くなって視界が良くなった。

  ボンネットは先代より前下がりの傾斜が緩くなり、前方見切りが良くなった。高くなったボンネットのコーナーは絞られていてコンパクト感に配慮されている。

・フォルム

  「シカクマル」がモチーフだが、上半分が面取りで、下半分が張り出していてボディ全体の統一感が微妙。グリルやプロテクターやリアバンパー等が張り出した四角い土台の上にボンネットやルーフやピラー等の角を落とした上屋が乗っている感じ。

  取り回し性を良くするためのコンパクトさなのに、下半身が張り出しているので角を擦りらないか気になる。(例え実際には問題なくても)

  ボディコーナーの張り出しは空力のためのエアロコーナーかもしれないが、プロテクターが付いて流れを乱しているし、シエンタなら取り回し性の方が優先では。

・カラーリング

  イメージカラーはアーバンカーキ。他も中間色的なカラーが多い。ファミリー向けにしては なかなか渋い配色。

■フロント (10点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  「シカクマル」の通り 面取りした四角いランプ。目頭と目尻がツノのように飛び出しているのは親しみやすさという意味では微妙。

  そして左右の四角いランプを黒いガーニッシュでつなぎ、中央のトヨタ ロゴを目立たせるキーンルック。これがフィアット パンダやルノー カングー等と同じ構成。

  もともとモチーフがパンダと同様なのだから、ディテールでは似ないように もっと気遣うべきなのでは。(-5点)

シエンタ、右 パンダ

・グリル、バンパー

  上下グリルとパンパーが一体になった 面取り四角の「シカクマル」。これもパンダやカングーと同じ構成。

  また 下側のメッキモールが やたら目立つ。下アゴだけ張り出しているように見えて悪目立ち。アンダープライオリティにしても やり過ぎ。(-5点)

■サイド (5点/20点満点)

カーデザイン

フェンダー

  見た目の安定感のためフェンダーアーチの片側だけ黒いプロテクター。(フロントは前方だけ、リアは後方だけ)

  片側だけでは片手落ちだし、ボディ コーナーのカドは保護していないので機能的でなくオモチャっぽい。(-5点)

  例えば 先代も片側だけのプロテクターが付いていたが、「一筆書き」の表現の一環だし、リアだけだったので違和感なかった。

・ドア

  前後ドアに またがる黒いプロテクターはカジュアル感。その周囲のドア表面が盛り上がっているので、実際のプロテクション効果は微妙。

  このプロテクターのアイデアはパンダやカングーと同じ。パクリの印象を強めている。(-5点)

・ウィンドウ周り

  先代の「一筆書き」やブラックアウトしたワイド感は踏襲されていない。

  丸まったAピラーはボディ同色、B・Cピラーはブラックアウト、Dピラーはリアランプ付き。(Bピラーはグレードによってはボディ同色) そして リアクォーターウィンドウの所でベルトラインが唐突にキックアップ。

  この構成はパンダと同じ。Aピラーの形状はカングーに似ている。ここまで同じだとパクリと言われても仕方ない。(-5点)

カーデザイン

シエンタ、下 パンダ

・タイヤ、ホイール

  最近の大径化のトレンドに反し、15インチを維持して最小回転半径を縮小。見栄えより取り回し性を重視したのは良い。

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

   トヨタ ファンカーゴのオマージュでリアランプはDピラーに取り付け。ランプ単独で考えると視認性が良い位置だし、ドット柄も個性的で悪くない。

  しかし 先代の「一筆書き」を阻害し、パンダそっくりに見せる効果を考えると良くなかったのでは。

シエンタ、右 ファンカーゴ

・バンパー

  リアフェンダーと共に張り出している出っ尻。コーナーを もっと面取りしていれば、そう見えないのに。

・ウィンドウ周り

  リアウィンドウの面積もあり、後方視界は悪くない。窓の周りをブラックにしてリアランプに つなげて見せるのは御愛嬌か。

■おまけ (デザインクリニック提案)

カーデザイン

リファイン案

  例としてレビューで気になる点について見直し案を提案する。テーマは「ヘリテージ」。

  つまり先代のモチーフである「一筆書き」やウィンドウ周りのデザインを踏襲してシエンタらしさを強調し、パンダ等に似てると言わせない。

カーデザイン

リファイン案

  主なポイントは以下の通り。

・ボディのコーナーを丸めて取り回し性が良さそうに

・サイドウィンドウ周りの構成はパンダと変え、先代を踏襲

  Aピラーを少し立てて前進させ前席のドア開口を広く

  Aピラー等をブラックアウトし全体コンパクトに見せながら広々感

  Dピラーをボディ同色にして一筆書きでルーフとサイドボディを一体化

・フロントランプとグリルをパンダと変え、ニコやかで親しみやすく

  フロントランプ間の黒いガーニッシュをなくして代わりに一筆書きのラインへ

  (一筆書きはノーズ、ランプ、Aピラー、窓の辺で つながり、ボディを1周)

  フロントランプの目頭と目尻に飛び出たツノをなくして 自然な角丸に

  アッパーグリルは微笑んだような角丸に

フェンダープロテクタはフェンダーアーチの全周をカバーして実用的に

・コーナーのカドを保護するするコーナープロテクターを追加

  ロアグリルとコーナープロテクターを組み合わせてドアプロテクターと同じ角丸に

カーデザイン

上 オリジナル、下 リファイン案

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://toyota.jp/sienta/design/?padid=from_sienta_top_navi-menu_design

https://toyota.jp/sienta/?padid=from_sienta_grade_navi_top

https://global.toyota/jp/mobility/toyota-brand/toyota-design/sienta/

https://www.fiat-auto.co.jp/panda/

https://toyota.jp/ucar/catalog/brand-TOYOTA/car-FUNCARGO/200306/10012008/

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