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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

トヨタ シエンタ 2018 (A 90点)

 

シエンタ

「一筆書き」の曲線フォルムは見事。「隈取り」みたいな加飾も自然に見える

■まとめ (A 合計90点/100点満点)

  トヨタ シエンタはユニークなデザインが意外と好評で、マイナーチェンジ(2代目 後期)でも歌舞伎の「隈取」みたいに個性的なバンパーガーニッシュが残っている。

  トレッキングシューズの表現で多数の曲線を取り入れたフォルムは まるでスペインの建築家ガウディの有機的建築スタイルみたいだ。それなのに「一筆書き」をモチーフにした効果で全体まとまって見えるのは素晴らしい。隈取も自然に見えてくるから不思議だ。ただし ウェッジシェイプは頑張りすぎで、サイドの視界に影響があるため気になる人は要チェック。

  それにしても このユニークなデザインを多数の人が受け入れていることに感心させれられる。

■主な比較対象車

トヨタ シエンタ(2代目 前期)

・ホンダ フリード (競合車)

ルノー カングー (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  2019年度国内新車販売台数乗用車3位(軽自動車除く)を獲得した小型ミニバン、シエンタはユニークなデザインも好評で、マイナーチェンジでも一部フェイスリフトの小変更に留まった。

・ユーザー

  主なユーザーはポスト団塊ジュニア世代で、主張の強いモノを好む傾向が有るらしい。

・デザイン要求

  シエンタはミニバンとしてはニッチな小型サイズ。大きい方はトヨタ ノア等、小さい方はトヨタ ルーミー等で抑えられている。だからニッチャーとして目立たせる戦略は妥当だ。

  また小型ミニバンを選ぶユーザーは取り回しを気にするため、取り回しが良さそうなデザインも重要だ。

■コンセプト (25点/30点満点)

シエンタ

・テーマ、モチーフ

  「Active & Fun」がキーワード。トレッキングシューズをイメージし、機能性と動感を分かりやすく表現だそうだ。ミニバンよりSUVに似合いそうなテーマとモチーフだが、ニッチャーとしてはユニークさを優先させる戦略もアリか。

・スタイル

  トヨタのデザインスタイル「キーンルック」、「アンダープライオリティ」は ゆるく適用。ユニークなデザインの足枷になっていない。

・パッケージング

  マイナーチェンジで従来からの3列シート車に加え、2列シート車を追加。

  先代同様5ナンバーの全幅を維持。走りのために全高を抑え、競合車より全高が低い。

  しかし背の低いミニバンが軒並み廃番となったように、最近ミニバンを選ぶユーザーは走りよりもスペースを求めている。やはり全高は もう少し高い方が良かったのでは。(-5点)

■全体デザイン (30点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  短いノーズ、長いルーフでミニバンらしいプロポーション

・フォルム

  ボンネットやフロントウィンドウを かなり寝かせたモノフォルム。スライドドアなのにボディ前後の絞り込みと面の抑揚も強い。曲面で構成されたフォルムはミニバンとして実にユニーク。曲面的な フランスの小型ミニバン、ルノー カングーでもボディ後半は四角い箱だ。

  トレッキングシューズの表現で多数の曲線を取り入れているが、「一筆書き」をモチーフにした効果で全体まとまって見えるのは素晴らしい。特にフロントウィンドウからベルトライン段差とリアドアのカットラインを伝い、リアドア下のプロテクターを経由して、リアタイヤに至る一筆書きは見事だ。(+10点)

・カラーリング

  マイナーチェンジで単色を増やした上にツートーンカラーを追加。色を選ぶ楽しさが増えた。

■フロント (10点/20点満点)

シエンタ

・ランプ

  ランプ内部を変更。ランプの外形状は相変わらず。後端の中央が四角く外へ飛び出した形状で一筆書きから外れている。(-5点)

・グリル

  後期型はバンパービームをグリルに取り込んで一体化した。グリル内部のドットパターンもユニークな表現。

  なぜかロアグリルは一体化から外れていて不自然だ。ドットでもないし、メッキモールも途中で途切れている。ナマズのヒゲみたいな中途半端なメッキモールは ない方が良いのでは。(-5点)

・バンパー

  後期型は顔の「隈取」が減った。トレッキングシューズを表現した黒いバンパーガーニッシュがロアグリルにつながらなくなり、顔が切り離されたように見えなくなった。

  相変わらずメインランプからの垂れ下がりは残っているので、「不自然な涙目」だ。ここは垂れ下げない方が万人受けする。しかし このガーニッシュによる視覚的オーバーハング軽減の効果は大きく、全体がユニークなデザインなので許容されるか。

・ボンネット 

  前下がりが強いのでボンネットが見えにくく、前方見切りは今一つ。この車に限らないが。

■サイド (15点/20点満点)

シエンタ

フェンダー、ドア

  スライドドアなのにボディの絞りと抑揚が見事だ。フェンダーフレアも自然に溶け込んでいる。ドアレールの制約をプラスに変えている。

・ウィンドウ周り

  ベルトラインの後ろ上がりの傾斜が強く、しかもDピラーがキックアップしているため、斜め後方視界が良くない。また背の低い子供達が座ることの多い後席の開放感からもベルトラインの傾斜は緩い方が喜ばれそうだ。(-5点)

■リア (10点/10点満点)

シエンタ

・ランプ

  後期型はランプ内部の変更。ランプの外形状はフロントランプとの統一感があるし、スライドドアレールと一体化して上手い表現。

・バンパー

  バンパーガーニッシュがフロントと同様に隈取。これもフロントと同様に許容されるか。

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://toyota.jp/sienta/gallery/?padid=from_sienta_feature_ft-design-1_detail#des-ext https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/column/20180924_sienta

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