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超 カーデザイン レビュー

「日本車はカッコ悪い」なんて言わせたくない

トヨタ スープラ 2019 (D 50点)

カーデザイン

スポーツカー戦略が ないなら、いっそトヨタ2000GTリバイバル したら

 

■まとめ (D 合計50点/100点満点)

  トヨタ スープラ(5代目)はトヨタの社長の悔しさから誕生。ドイツのニュルンブルクリンク サーキットを走るのに、ドイツ メーカーの新型車と違って、中古のスープラしかないことが悔しくて新型スープラを作ると誓ったそうだ。

  作るとなったらポルシェを目標にした。スープラはGT(グランツーリスモ)向きの直列6気筒 エンジンのFRなのに、水平対向エンジンの MRのポルシェ ケイマンがベンチマーク。先代より全長とホイールベースを縮めてハンドリング マシンを目指した。スープラを高性能GTと考えるユーザー ニーズに合ってない。かと言って、V6エンジンやMRに変えるまでの覚悟もない。

  トヨタは よその子のオモチャを見て、同じオモチャを欲しがる子供みたいだ。ユーザーへ提供すべき価値を踏まえた独自のスポーツカー戦略が ないらしい。伊勢神宮式年遷宮20年周期を超えないようにとか、ポルシェを目標にとか、今だけの思い付き。例えば、トヨタ RAV4は これまでの25年に提供した価値を踏まえて、これからの25年を見据えたSUVの再定義にチャレンジしたというのに。

  デザインも本気が感じられない思い付き。好評だったデザインスタディ(習作)のコンセプトカー「FT-1」をモチーフにしたが、サイズの違いで再現を あきらめたのか、再現度が全然低い。FT-1はシャープなフォルムなのにスープラモッコリ。 新しいアイデアも考えたそうだが、FT-1を超えるまで追求しなかった。例えば、レクサスLCは新規プラットフォームを作ってまでコンセプトカーを本気で再現したのに。

  思い付きでスポーツカーを作るなら、ヘタに考えるより、いっそ歴史的な名車トヨタ 2000GTを今の技術でリバイバルしたら どうだろうか。かつてスープラは「トヨタ3000GT」をキャッチフレーズにしたこともあったし。それならフラッグシップカーとして最高だ。

カーデザイン

左 FT-1、右 スープラ

■主な比較対象車

トヨタ スープラ (先代)

トヨタ 86 (同門車)

トヨタ 2000GT (同門車)

BMW Z4 (姉妹車)

・ポルシェ ケイマン (競合車)

・シボレー コルベット (競合車)

■キャラクター

・ポジション

  令和元年になった2019年5月に新発売されたスポーツカー、トヨタ スープラは先代発売開始から26年ぶりの復活。伊勢神宮式年遷宮20年周期を超える期間が開いた。スポーツカーの技術伝承が途絶えてしまって、新たに技術の再構築が必要だ。スープラ伝統の直列6気筒エンジン(直6)を載せるにも他社の助けが必要だった。

  その開発パートナーには直6を持つBMWを選んだ。BMWからはBMW i8の後継車のような先進的な企画も提案されたが、トヨタは古典的なスポーツカーに こだわった。

  そしてBMW Z4 (3代目) とスープラを同時開発。開発のベンチマークはポルシェ。オープンカーのZ4がポルシェ ボクスター、クーペのスープラはポルシェ ケイマン。

  実はBMWも本格的なスポーツカー造りはBMW M1以来なので、こちらも技術伝承が途絶えている。スポーツカー初心者同志が組んでスポーツカー専門家に挑むかたち。

・用途、ユーザー

  トヨタの狙いとユーザーニーズは合っていない。

  トヨタはドリフトしやすいトヨタ 86でクルマを振り回すことを覚えた人達がステップアップする車として考えた。だからケイマンのようなハンドリングカーが狙いだ。歴代スープラで初めて直列4気筒エンジン(直4)のグレードもある。

  しかしユーザーにとってスープラは 高性能GTだ。スープラは かつて「トヨタ3000GT」をCMのキャッチフレーズにしていたくらいだ。アメリカで人気が出た理由の1つである映画「ワイルドスピード」でのスープラの扱いも高性能エンジンと「ゼロヨン」の直線勝負がメインだ。

  トヨタも そんなユーザーニーズを分かっているから、ハンドリングカー向きでない直6 FRにしたはず。トヨタの狙いとエンジン選定・レイアウトが自己矛盾。直6 FRに こだわるなら、素直に(ちょっとハンドリングの良い)高性能GTを狙えば良いものを。

  もし本気でハンドリングに特化するならMRだろうし、ハンドリングと高性能GTの両立を狙うなら、V型6気筒エンジン(V6)やV型8気筒エンジン(V8)を選んでも良かっただろう。しかしトヨタにはスープラの伝統をリセットする覚悟や新しい戦略は なかった。

  例えば、シボレー コルベット (8代目)は歴代のFRからMRに変えるという大胆なチャレンジをしているというのに。

・デザイン要求

  自己矛盾したまま、トヨタの狙いとユーザーニーズの両方を満足させるデザインは難しそうだ。

■コンセプト (10点/30点満点)

カーデザイン

・テーマ

キーワードは「コンデンスド エクストリーム」。それだけだと 良く分からないが、力感あふれるフォルムとタイトなキャビンということらしい。スポーツカーとしては 当たり前で、やっぱり具体性がない。(-5点)

・アイデア、モチーフ

  2014年デトロイトモーターショーで発表したコンセプトカー「FT-1」がモチーフ。FTは「フューチャー・トヨタ」、1は「ナンバーワン」を意味するらしい。

  FT-1は直6 FRのデザインスタディ(習作)だが、先代スープラよりも さらにサイズが大きい。新型は先代よりも全長とホイールベースが短くしたので再現は簡単でない。

  新しいアイデアも考えたそうだが、FT-1を超えられなかった。結局、FT-1のシャープなフォルムが再現されず、モッコリしたフォルムになってしまった。(-5点)

・パッケージング

  ハンドリング狙いのショート ホイールベースと高性能GT向きの直6 の自己矛盾したレイアウトがデザイン全体に悪影響。(-10点)

  回頭性を狙って、ホイールベースを先代より短くして、ケイマンと同等にした。寸法だけMRのケイマンと同じにしても、FRでは回頭性で不利なのに。

  BMWが反対したように、ホイールベースを短くすると高速安定性に不利。トヨタは実験で安定性を問題ないと判断したが、見た目も不安定で速そうなイメージに欠ける。

  その短いホイールベースに全長の長い直6を載せると、前後重量配分が50:50より少し前が重い。直4ならば50:50。このサイズは直6向きというより直4向き。

■全体デザイン (5点/20点満点)

カーデザイン

プロポーション

  古典的なロングノーズ、ショートデッキは先代同様。先代に比べて全長とホイールベースが短くなり、ケイマンと ほぼ同じサイズ(全幅はスープラの方が やや広い)。コルベットなどと見比べられたら かなり見劣りするサイズだ。先代のサイズならマシだったのだが。(-5点)

  ケイマンと同じサイズと言ってもパッケージングが違う。ケイマンは水平対向エンジンのMRなのでボディが薄く軽快感がある。スープラは背の高い直6のFRなのでボンネットが高く、同じ全長だとケイマンに比べて鈍重に見える。(-5点)

  例えば、FT-1はホイールベースが長くて、オーバーハングが小さいため、高速安定性と軽快感がアピール出来ている。ユーザーが求めるプロポーションは 高性能GTらしい こっちだろう。

・フォルム

  FT-1のメリハリあるシャープなフォルムが再現できていない。

  スープラはノーズが平坦でメリハリがない。ボンネットとフロント フェンダーは抑揚がなく、大きく膨らんだリア フェンダーとバランスが悪い。ルーフラインもモッコリ膨らんでいてシャープさに欠ける。(-5点)

■フロント (10点/20点満点)

カーデザイン

・ランプ

  目頭切開したように内側が尖った外形状は個性的だが、ノーズの面に食い込んでいて精度が悪く見える。(-5点)

・グリル

  ノーズの下側に大きく開いたグリルはエンジンの冷却のために必要らしい。高性能車と考えると機能的。

・バンパー

  FT-1の尖ったノーズが再現できないのは残念。  F1のフロントウィングみたいな構成は古いと思う人もいて微妙だが、リフト軽減に効果があるらしいので機能的か。

  ランプの下にダミーのエアインテーク。レーシング用として開けられる構造だが、市販車では わざと ふさいで出し惜しみ。ダミーにして偽物感を出すより、ふさぎたいユーザーだけ ふさがせる方が良いのでは。(-5点)

■サイド (15点/20点満点)

カーデザイン

・ルーフ

  空力を考えて中央が凹んだダブルバブル形状。全体のフォルムにも合っている。

フェンダー、ドア

  BMWで製作できずに外注になったほどのリアフェンダーの深絞りは見事だが、フロント側とのバランスがイマイチ。

  フェンダーとドアのあちこちにダミーのエアインテークとエアアウトレット。偽物感が うれしくない。(-5点)

・ウィンドウ周り

  サイドウィンドウのグラフィックはトヨタ2000GTをモチーフにしているらしい。どうせならトヨタ2000GT全体をリバイバルした方が面白いだろうに。

■リア (10点/10点満点)

カーデザイン

・ランプ

  リアランプの外形状はフロントランプと違って、面の流れに沿っていて自然。

・バンパー

  低重心に こだわる最近のトヨタにしては珍しく「垂れ尻」に見えない。

  FT-1のディフューザーが再現できないのは残念。

・ハッチ

  ダックテールはリフト軽減に有効で、フォルムにも合っている。後方視界を狭めでいるが、スポーツカーなら許容可能か。

■注記

※このブログのレビューは あくまで個人的意見の相対評価

※このブログで「デザイン」は外装スタイリング(外観)のこと

※画像の出典

https://toyota.jp/supra/feature/?padid=from_supra_top_navi-menu_feature

https://toyota.jp/supra/gallery/?padid=from_supra_gallery_navi-menu_gallery

https://toyota.jp/supra/grade/

https://global.toyota/jp/detail/1024325

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